甲長 10mm
長い間クリイロサンゴヤドカリと混同され続けていたこのヤドカリも、20世紀が終わる頃にはようやく図鑑上でも別種であるとされた。
とはいえまだ和名がつけられていなかったこともあって、リセット能力が乏しい私は、↓こういうシーンを眺めていても…
なんの躊躇も無く「クリイロサンゴヤドカリ」扱いにしていた。
でもこのヤドカリがセグロサンゴヤドカリであると当たり前に認識している人々のほうが圧倒的多数になった今、引き続きかたくなに「クリイロ」と呼び続けているというのもなんなので、時代に対応すべく手持ちの「クリイロサンゴヤドカリ」の写真をあらためて見直してみた。
すると、クリイロサンゴヤドカリの稿でも述べたとおり、個人的にある意味能動的に混同していた「クリイロサンゴヤドカリ」は、思いのほかセグロサンゴヤドカリ率が高かったので驚いた。
さてこの両種、長い間混同されていたというわりにはあまりにも明確な、両者の区別ポイントがある。
実際に肉眼で観ているときに有効かどうかはともかく、我々シロウトでも容易な見分け方はというと…
クリイロ…の眼がついている棒部分(眼柄)は黒なのに対し、セグロ…はオレンジ。
これが決定的な両者の違いのひとつだそうだ。
なので、脚の色がかなり濃い目であっても…
眼柄の色がオレンジだったら、セグロサンゴヤドカリと断定してノープロブレム。
また「背黒」というだけあって、彼らの背中(の前半)は黒い。
クリイロサンゴヤドカリの背中はというと…
…まったくもって白い。
「セグロサンゴヤドカリ」という名が、実に見事に体を表していることがわかる。
だったら眼柄なんて細かいところになどいちいち注目しなくとも…と言いたいところながら、ヤドカリさんにとって背中は「秘部」だから、そうおいそれと人目にさらすわけにはいかない。
普段の姿では背中が観られないとなれば、たとえチマチマした細かい部分であろうとも、眼柄の色の違いはやはり重要なチェックポイントなのである。