甲幅 10mm
2015年にはもう、石の下の環境保全協会を立ち上げていたはずなんだけど、その年の9月に私は冒頭の写真のカニさんを撮っていたらしい。
撮った本人(私のことです)にはまったく記憶がないので、カメラを携えて潜った時用のログブックをチェックしてみたところ、このカニさんの撮影日のログには「サンゴヒメエビの仲間」というメモ書きがあるのみ。
どういうわけか、このカニについては一言も言及していない。
珍しいカニに出会った、という実感がまったく無かったのだろうか。
というか、サンゴヒメエビ類は間違いなく石の下、そしてこのカニさんも見るからに石の下の住人であろうと思われる。
ということは、私は当時まだ石をめくっていたのだろうか…。
まったく記憶がないものの、同じ撮影日時になっている写真を使用しているサンゴヒメエビの稿を読んでみると…
ゲストを案内中のだんながフリータイムになってから見つけたもので、私はがカメラを携えて遊びで潜っていたから撮影を託されたものだ。
としっかり書いていた…。
ということはおそらくこのカニさんも、サンゴヒメエビの1種と同じく、だんなから撮影を託されたに違いない。
フリータイム中とはいえ、だんなが案内してたゲストが、こういうクリーチャーが見えないクラシカルアイの方でよかった…。
個体差なのか、成長度合いの差なのか、それとも環境の違いなのか、「エビカニガイドブック久米島編」に掲載されているものとは背中の模様がほんの少し異なるものの、おそらく同じ種類と思われる。
「今後の分類学的精査が待たれる種類」とその図鑑の解説で述べられていた頃から19年経った現在では、どうやら1902年に新種記載された Platyozius laevis であろうということになっている。
その後各地でけっこうフツーに観察されているっぽいのに今のところ和名はつけられていないようで、Platyozius属が和属名でいうところの何属になるのか私にはよくわからないのだけれど、小さいくせに堂に入ったその構え(?)はケブカガニ系のカニさんたちにも似ている。
ただし剛毛感はまったくなく、むしろ肉感的なハサミ脚がプリプリで、なんだかシマウマのヒップにも似たセクシー感さえ漂っている(※個人の感想です)。
2006年@ケニア・マサイマラ
また見ようによっては、気張った顔をして力こぶを作っている幼い頃の金太郎のようでもある。
こうして写真だけ見ていてもとってもかわいいのに、なんで当時は5枚しか撮らなかったんだろう?
不思議に思ってこのカニさんの前後の写真を振り返ってみたら、このあとすぐにサンゴヒメエビの1種をだんなが発見したために、このカニどころではなくなってしまったらしい…。