甲長 10mm
今世紀になって新設(?)されたミギキキヨコバサミ属には、今世紀になってから新種記載されたものがいるのはもちろんながら、従来は他の属に分類されていたものがミギキキヨコバサミ属にトレードされてきたというケースもいくつかあるそうな。
このP. monoporus も以前はブチヒメヨコバサミ属とされていたものがこちらの属に変更されたのだそうで、種としての世界デビューは1987年とけっこう古い。
いつ頃から日本で確認されるようになったのかは知らないけれど、私は2014年の初遭遇以来、毎年1~2匹に遭遇している。
いつでもどこでも観られるほど個体数が多いってわけではないにしろ、沖縄にはフツーに分布しているということなのだろう。
ああそれなのに、彼にはいまだに和名が無い。
和名が無いヤドカリさんを称するには世間の通称か種小名のカタカナ表記を用いるのが通例なので、以後は覚えやすい種小名カタカナ表記「モノポルス」で通すことにする。
で、このモノポルス、他と区別するための特徴がいろいろあるなか、画像で確認するならかなりわかりやすいチェックポイントのひとつが眼柄。
〇〇ヨコバサミとつく他の仲間たちの眼柄は単色のものが多いのだけど、モノポルスは紅白のストライプ模様になっているのだ。
ただしこれだけだとケブカヒメヨコバサミの特徴にも似ているから、さらなるチェックポイントの第1触角を観てみよう。
見事にハナヒゲウツボカラー♪
カザリサンゴヤドカリの稿でも紹介しているように、第1触角がハナヒゲウツボカラーになっているヤドカリさんがわりといるのだけど、ヨコバサミの仲間では(今のところ)このモノポルスだけなのだ。
私がこれまで出会っているモノポルスは、ハサミ脚や歩脚の色が図鑑やヤドカリ紹介サイトなどで見られる個体と随分違って見えるものが多いのだけど、眼柄が紅白ストライプ、第1触角がハナヒゲウツボカラーであれば、もうモノポルスと思って間違いなし(ですよね?)。
水納島で観られるモノポルスはハサミ脚や歩脚がオレンジ色っぽく、触角や眼柄の色味とあいまってけっこう派手めに見える。
ただ、手脚には細かい毛が密生していて…
…この毛にシルト質の粒子がたくさん付着するものだから、せっかくの派手め色が見えないこともよくある。
リーフ際のホントにキワキワの死サンゴ石が転がっている浅い海底付近で日中から活発にチョコチョコしているので、肉眼でもその色味がよくわかる。
見た目がけっこう派手めなこともあってついつい「おっ!」となってしまうため、いれば必ず撮っているヤドカリさんでもある。
それなのに、なかなかビューティホーに撮れないモノポルス。
体の色は派手めでも、貝殻の色とかぶってしまったり…
岩肌に生えている藻類と同系色だったりして…
ヤドカリさん自体が目立たなくなってしまうのだ(それが本人の狙い目なんだろうけど…)。
まさか黒い貝殻を利用しているはずもなし、せっかくの派手めなオレンジ、どう撮ればビューティホーになるんだろう?
そんなおり、意図せぬところでフトしたことから、解決策のヒントが。
殻口が綺麗な貝殻に入っていれば、ビューティホーかも。
ま、ヤドカリならではのヤラセですけど…。
でもこのヤラセのおかげで、普段は観ることができない背中もチラッと。
あら、小梅ちゃんのようなほんのりピンク。
貝殻の殻口が、モノポルスが映えるような色味なのかどうかは当たるも八卦当たらぬも八卦。
はたしてこの先、年に1~2度の遭遇頻度で超絶ビューティなモノポルスの写真を撮ることができるだろうか?