甲長 10mm
ヒトから好きな色を訊かれれば、迷うことなく紫と答える私。
だからといって、紫色の洋服を好んで着るとか、小物を紫で統一しているとか、そんな血迷ったことはしていない。
その昔伊豆でもっぱら潜っていた頃にドライスーツを作った際、紫色を多用しすぎて派手派手になって失敗してしまったこともあるけれど、私にとって紫色をした生き物となると、やはり本能的に注目してしまう。
このムラサキゼブラヤドカリ君も、四の五の言わないわかりやすい名前のとおり、見事に紫色をしている。
そんな全身紫色のヤドカリさんに会いたくて、ヒマさえあれば暗がりを覗き込んでみるものの、水納島では…というか、よく潜る砂地のポイントではなかなか見つからず、ようやく水深7mほどのリーフ際の暗がりで出会ったのが冒頭の写真の子だ。
実はこの前日にケフサゼブラヤドカリと初遭遇していたので、この日もまたいないかなぁ~と探していたところにこのムラサキゼブラヤドカリの登場。
私が狂喜乱舞したのはいうまでもない。
けれどあいにく前日に引き続きゲストをガイド中だったのでカメラを携えておらず、せっかくの初遭遇がまたもや「追い風参考記録」で終わってしまう…
…かと思われたその時、何も知らずに「フフフ~ン♪」と鼻歌まじりにそばを通りかかっただんなは、その手にカメラを持っていた。
チャンス!
これを今撮らずして何を撮る!的勢いで無理矢理撮ってもらった…のだけど、装備しているレンズは28mm、それもマクロレンズではないから被写体に近寄ると焦点しないため、小さなものを撮るなど土台無理な話だ。
それは百も承知しているだんなは当初から戦意喪失していたこともあり、撮られた画像はストロボ光で白くぶっ飛んだ砂礫底にミジンコのようなサイズのヤドカリがややピンボケでポツンと写っているだけ。
無理矢理トリミングし、かろうじてヤドカリであることがわかる程度にしたら↓こうなった。
ハサミ脚が暖色系になっているのはカラーバリエーションだそうで、ハサミ脚までムラサキのタイプが、一応ノーマルということのようだ。
こんな写真でも、一応モニターで種類を確認できるくらいには撮れるあたり、フィルムじゃ考えられないデジタルのチカラ…。
その後私はケフサゼブラヤドカリに出会う機会には何度も恵まれているけれど、ムラサキゼブラヤドカリは今に至るもこの時かぎり。
次回は全身紫色タイプを、それもマクロレンズ装備のカメラを携えている時に是非…と願っている間に、あれからもう15年も過ぎてしまった。
そんなに出会えないヤドカリなら、あのときもっとちゃんと撮っていればよかった…と、今さらながら後悔しているだんなである。
※他所ではチョコチョコ観られるらしいです。