甲長 15mm
これまたハデハデカラーのケフサゼブラヤドカリは、少なくとも水納島ではアデヤカゼブラヤドカリと並ぶ2大ゼブラヤドカリ。
というのも、恥ずかしながら私はこれまでこの2種以外では、ムラサキゼブラヤドカリをただ1度観たことがあるに過ぎないから。
ご存知のようにゼブラヤドカリの仲間は他にもいろいろ魅力的な種類がいるので、出会うたびに「これは違う種類かな?」と期待を抱くものの、またケフサ、またまたケフサ…ということをこの10年ほど繰り返している。
派手派手なゼブラヤドカリの1種なのでやはり暗いところが好きなので、日の当たる明るいところをトコトコ歩いていることはなく、昼でも暗い岩陰などで観られるケフサゼブラヤドカリ。
それにしても、こんなに美しいヤドカリに、なぜケフサなどという名前が?
と不思議に思いつつ写真を見返してみれば、なんとこのヤドカリの大きなハサミ脚の甲側には、その名のとおり毛がフサフサ!
拡大。
これは手の甲全面に生えているものではなく、縁に沿って密生しているようだ。
大きく長い右側のハサミ脚は、普段のポーズでは手の甲側が地面につくようになるから、この毛がフサフサのハサミ脚を地面につけながら歩けば、自動的にエサが毛に絡みついてくる…
…ということなのだろうか。
だとしたら、カンザシヤドカリの触角が手の甲にあるようなものか…。
というか、こうなると「ケフサ」というよりも、「ブラシゼブラヤドカリ」のような気が…。
意外なワザ師かもしれないケフサゼブラヤドカリながら、幼少時の手の甲はけっして「毛フサ」ではない。
ケフサゼブラヤドカリもやはり他の脚と色が異なっている右側の大きなハサミ脚は、さほど派手さはないのだけれど、若い頃は純白に近く、眼の周辺も含めた体全体の色味も淡い感じがするので、より繊細に見える。
この大きなハサミ脚の色は、大きめの個体ではくすんだ色になっているので…
これは成長段階による色の違いなのだろうと思っていた。
ところが、わりと大きめでも白さを保っているものもいる。
ということは、脱皮から次の脱皮までの間にハサミ脚に藻が生えているだけってこと?
というか、食事に利用しているのだとしたらかなり大事なハサミ脚のフサフサの毛、これはどうやって「脱皮」しているのだろう?
ついつい美しさに気を取られ、これまで考えたこともなかった「毛フサ」、脱皮中はどうなっているんだろう…。