甲幅 10mm
ヒメサンゴガニ倶楽部の追記にて触れたとおり、これまで「ヒメサンゴガニ属の1種」でしかなかったカニさんたちのいくつかがキチンと種として区別され、めでたく和名がつけられていた。
もっとも、記載論文は生態図鑑とは違って実際に海中のサンゴの枝間でどのように見えるのかという写真は載っていないから、どんなに詳細データが記されていようとも我々シロウトには見当がつかないものばかり。
かろうじてこのパウルソンサンゴガニだけが、「あ、このカニさんだ!」となった。
このパウルソン、21世紀になってようやく和名がついたカニさんではあるけれど、アカデミック変態社会でのデビューは19世紀と古く、 Tetralia cinctipes という学名でデビューさせた記載者が Paul'son。
ヘンテコな和名は、そういうところに由来しているらしい。
雌雄とも安定的に(?)このカラーリングということになっているパウルソンサンゴガニは、他のヒメサンゴの仲間たち同様、水納島ではこれまでミドリイシ類のサンゴの枝間でしか観たことがない。
出会っているのが若い個体ばかりだからなのか小さいイメージがあるのだけれど、小さい体を狭い枝間の奥に埋もれるようにしていることが多いから、なかなか全身を露わにしてくれない。
一部しか見えないから、↓このカニさんも同じ種類なのだろうとばかり思っていたところ…
別カットを見ると、このカニさんの背中は全面的に水色だった。
エビカニの世界では、色がこんなに違っていても同種ということがある一方で、ほんの少し違うだけで別の種類ということにされることもあるから、ウカツな思い込みは危険だ(私の場合ほとんど思い込みだけど…)。
なので上の写真のカニさんは、とりあえず別のカニと思っていたほうがいいはず。
なにはともあれパウルソン、他と区別しやすいだけに、名前がついてよかったよかった。