エビカニ倶楽部

サビヤドリエビ属の1種

体長 10mm

 冒頭の写真のエビは、2012年の秋に砂地のポイントのリーフ際で撮ったものらしい。

 「らしい」というのは、画像ファイルに付記してあるデータにそのように記されてはいても、撮った本人(私のことです)にその記憶がまったく無いのだからほとんど他人事なのだ。

 記憶はないけど写真を見るかぎりではハナヤサイサンゴを住処にしているようで、対サンゴ比からしておそらく体長1cmほどだろう。

 撮った当時に正体を調べようとしたのかどうかの記憶ももちろんあるはずはないけれど、それまでに出ていたエビカニ図鑑にはどこにも見当たらないから、たとえ当時調べたとしても正体不明で終わっていたはず。

 ところが2013年に刊行された「サンゴ礁のエビハンドブック」には、おそらくこのエビだろうと思われるものが掲載されている(56ページ下段)。

 図鑑の解説によると似たような色形のものが何種類かいるようなので、冒頭の写真のエビがぴったりビンゴ!ではないかもしれない。

 ビンゴ!ではなくとも、近似の種類であることは間違いなさそう。

 その姿形からは予想外のテンボウカクレエビと同属(サビヤドリエビ属)で、こちらのエビはハナヤサイサンゴ類やショウガサンゴといった、ダルマハゼ系が好むサンゴをもっぱらの住処にしているようだ。

 狭い枝間の奥にいるからなかなかうまく光を当てられず、ヘナチョコアンダーな写真のためわかりづらいけれど、よく見るとその体には、光の粒子のような細かな点々模様が散りばめられている。

 ちゃんと光を当てればけっこうきれいに見えるだろうに、これじゃあなんだか錆が浮いてきたステンレスのような…

 …あ!

 だから錆ヤドリエビ??

 ものすごくスッキリした感……。

 でもホントはワビサビの寂びとか??

 それはともかく、さらに古い写真(ポジフィルム)を探していたところ、20年くらい前にすでに撮っていたようだ。

 10年前のことを忘れているくらいなのに、20年前のことなど覚えているはずはない。

 でも10年前よりも20年前のほうが、ちゃんと撮れているっぽいところがなんだかクヤシイ…。