甲幅 40mm(写真は20mmほど)
カラッパなんて生き物がこの世に存在するなんてことを全然知らなかった大昔の私が初めてカラッパの存在を知った時、これはカニとはまた別の甲殻類なのかとさえ思った。
でもダイビングを初めてからは、そうそう会えるわけではなくとも存在は身近になってきた。
さすがにダイバーのみなさんで「カラッパ」をご存知ないという方はいらっしゃらないだろう。
とはいえ一般社会ではまだまだ「知る人ぞ知る」的クリーチャー…
…かと思いきや、なんとも驚いたことに観賞用海水魚専門店のサイトではカラッパがラインナップしているし、世の中にはカラッパのガチャガチャ製品まで出回っているのだ。
それもバンダイプレゼンツで。
これはメガネカラッパで、シリーズにはトラフカラッパもラインナップしているようだ。
その全体的なフォルムや各部位の形状はもちろんのこと、左右のハサミの作りが異なっているあたりのリアルな再現性といい、各可動部の多さといい、ガチャガチャの範疇を超えた完成度に驚いた。
いつの間に世の中でこのようなカラッパ需要が生まれていたんだろう…。
もっとも、精巧な作りの海洋堂の各種フィギュアがそれぞれの方面限定の需要なのと同じで、ウミウシやチンアナゴのようにノンダイバーにも広くブレイク…というほどではないのだろう。
そういう意味では、たとえ「カラッパ」の存在を知ってはいても、それほど身近な生き物というわけではない…と思われているかもしれない。
ところが「カラッパ」のなかには、意外にもわりと身近な存在になりうるものもいる。
それがこのソデカラッパだ。
磯遊びでも出会えるような浅いところも暮らしの場にしているソデカラッパなので、水納島の場合桟橋脇にもいることがあり、日中でも砂底をヒョコヒョコヒョコヒョコ…と歩いている姿を桟橋上から眺めることができる。
ダイビングの出発前に他の方々の準備を待つ間、マスクをつけてボートの周りで浮かんでいるだけで、砂底でモゾモゾ…と動く姿を観ることだってある。
@桟橋脇のボートの下
マルソデカラッパと出会うまでにかなりの時間を要したことを考えれば、拍子抜けするくらいにフツーにいるカラッパなのだ。
大人サイズ同士が昼日中につかみ合いの喧嘩をしているのを桟橋から観たこともあるくらいだから、彼らの活動が夜間限定というわけではないのだろう。
上の写真でカニ本体がやけに緑色っぽいのは、おそらく浅いために体表にそういう色の藻が生えやすいってことかもしれず、ますます昼間に活動するのがフツーであることをうかがわせる。
冒頭の写真は水深10mほどの砂底で見つけたもので、やはりそのくらいの水深だと明るいから、体に似たような色の藻が生えるようだ。
ところがもう少し深いところのウミシダの下に潜んでいたソデ(であろうと思っている)カラッパは…
ホワイト&ホワイトで磨きまくったかのようなホワイトナイト。
よく観ると体表には藻が生えているのだけれど、深いところでは緑色の藻は生えないのか、あくまでも純白。
しかもこのソデ(であろうと思っている)カラッパときたら、すぐさま砂中に逃げ込むかと思いきや…
両のハサミを持ち上げて威嚇のポーズ。
このようにカラッパがハサミ脚を振りかざしているポーズなんて、ガチャガチャカラッパでしか見られないとばかり思っていたくらいだから、なにげにレアかもしれない…。
モンダイは、この純白カラッパがホントにソデカラッパなのかどうかというところ。
できることなら真上や背後から撮って、甲羅の形をつぶさに知りたいところだったのだけど、ご覧のようにウミシダの陰にいるためにそれはかなわず。
ソデカラッパに似ているものといえばコブカラッパ?
でも眼の感じが違っている気がする。
桟橋脇によくいる大人サイズのソデカラッパと比べると、体に対する眼の比率が全然異なっているのだけれど、これは純白カラッパがまだ若く小さいから…と納得しているのだけれど、はたして真相は?
で、もし上の純白君がソデカラッパなのなら、ビーチで出会った現在のところ↓人生最小級のこの子も…
…やっぱりソデカラッパということに。