(クモガニの仲間たち その2)
甲幅 5mm前後
ザ・スパイダース・1として紹介しているクモガニの仲間たちを仮にオランウータンタイプとするなら、このザ・スパイダース・2のクモガニたちは、イソバナガニタイプということになる。
体つきや脚の感じが、イソバナガニに似ている…気がする、という程度の個人的区別だけど、言わんとするところはおわかりいただけますよね?
これらのうち、1番は、ミドリイシやハナヤサイサンゴなど生きているサンゴの枝間に潜んでいるのを見かけるタイプだ。
冒頭の写真のように頭の先にホヤなどつけて気取っているところをみると、夜間はサンゴの枝間から外に出てくるのだろう。
1番の写真のようにいつも体全体をある程度観られるわけではなく、枝間にいるといっても↓このような感じでしか観られないことが多い。
↑こんな正面から見た写真と見比べたところでなんの説得力もないだろうけど、居場所やたたずまいからして、おそらく1番と同じ種類と思われる。
狭苦しい枝間にいるのをなんとか横から見てみたのが↓こちら。
1番と似ているといえば似ているでしょ?
で、これが1番と同じ種類ということなら、おそらく↓このカニも同じ種類なのだろう。
サンゴガニの仲間だったら、住んでいるサンゴの種類が違うからカニの種類も異なるところながら、スパイダースならサンゴの種類へのこだわりなどきっとないはず(思い込み)。
だから、たとえサンゴが死んでいようとさほど気にしない…
…のかもしれない。
2番はかなり極小サイズで、実はこういうクリーチャーに身を寄せていたもの。
身の丈5cmほどのヒドロ虫の仲間で、茎(?)の部分の太さなど5mmもないから、カニのサイズとなると相当小さいことがわかる。
極小サイズではあってもそのフォルムはハッキリとザ・スパイダース・イソバナガニタイプで、ヒドロ虫にしがみついている様子など、その昔伊豆でよく観たイボイソバナガニもかくや…ってなほどに見える。
もう少し背中側から見ると↓こんな感じ。
はたしてこれで大人サイズなのか、大人になるとまったく異なる姿になるのか、正体不明だけにさっぱりわからない。
3番はひょっとすると2番と同じ種類?という雰囲気を漂わせつつも、なんとなく違うようにも見える。
いずれにせよその体にはいろんなものが装着されているから、いったいどのような形をしているのやら、いまひとつわかりづらい。
形はともかく、体の色のベースは黄緑色のようだ。
台風後だったか、海底に沈んでいる枯枝にしがみついていたところだから、たまたまここにいたというところだろう。
砂粒に比したサイズからすると、2番と同じくらいか少し大きめだと思うのだけど、あいにく8年も前に撮ったものだから撮影者本人(私のことです…)にまったく記憶がない。
困ったもんだ。
さて、以上は観るヒトが観ればたちまちわかるかもしれないものの、私にはどう頑張っても正体不明なのに対し、ひょっとすると私でもハッキリ正体がわかるかも…と期待が持てるのが4番のカニ。
なにやらツノゼミのような鼻面をしているからまったく別タイプのカニに見えるものの、これは頭の先に(おそらく)カイメンを装着しているためで、このカイメンを取ってしまえば、ここでいうところのザ・スパイダース・イソバナガニタイプのフォルムになることが容易に想像できる。
といいつつ、何がどうしちゃったのか、ありうべからざるフレームアウトなうえに、別カットでなんとか全身が入っているものは…
とんでもないピンボケ。
ひと目でなかなか出会えないタイプだとわかったろうに、なんでこんな写真しか残せなかったんだろう、私…。
現場は水深30m超と深いところだったから、きっとアドレナリンと窒素がブレンドされ過ぎておかしくなっていたのだろう。
それはともかく、このように頭の先にこれ見よがしにカイメンをつけているカニといえば、それはすなわち…
カイメンガニかも。
カイメンガニはカイメンにかぎらずトサカ類からなにからいろんな付着生物を体に着けるそうで、時にはあり得ないほどカラフルになっていることもあるという。
このカニを撮ったのは昨年(2021年)2月のことだから、それから1年経った今会いに行けば、ひょっとすると往年のトラック野郎状態になっているかもしれない?