体長 7mm
チビウミシダエビは、ウミシダに共生するエビの中ではその名のとおり極端に小さい、という大きな特徴がある。
海中で初めて目にしたときは、他の種類の子供の頃なのかと勘違いしたものだった。
でもウミシダで観られる他のエビたちに比べ、額角がずいぶん短いために丸顔に見える。
またその体形はずんぐりむっくり(特にメス)。
機能美優先のマシーンのように見えるエビたちの中にあって、このチビウミシダエビは丸顔と体形のおかげでとっても愛嬌が感じられる。
オスはメスよりも小ぶりながら、体に対するハサミ脚の比率はけっこうでっかい。
同じウミシダにいたメスはこんな感じ。
メスのハサミ脚はオスに比べると小ぶりではあるけれど、オス同様片方だけが大きく、それもまたチビウミシダエビの特徴のようだ。
ウミシダシスターズの稿で触れているように、昔の水納島では砂地の主要ポイントでもウミシダが数多く観られ、そこに住まうエビたちの姿もごくごくフツーに観られたのだけど、このチビウミシダエビとの遭遇頻度は当時でも多くはなかった。
多くは無かったけど、ときにはこんなこともあった。
PCでご覧の場合は↑この写真をクリックすると大きな写真になるので、数えてみてください、チビウミシダエビが10匹以上います。
でも肝心のウミシダが激減している現在は、彼らになどそうそう会えるわけはない。
ところが昨年(2021年)、比較的深めの砂底に生えている小さなヤギにこれまた小さな小さなウミシダがついて、そこにこのチビウミシダエビらしきエビが居ついてくれた。
ただしこのエビ、顔つきも体つきも片方だけハサミ脚が大きいことも、どれをとってもチビウミシダエビの特徴を備えているのだけれど、たったひとつだけミスマッチなことがある。
ぜんぜんチビじゃないのだ。
ウミシダ自体が小さいからエビがでっかく見えているだけではなく、オレンジのヤギの枝に比したらわかるように、実際に2cmくらいある。
チビウミシダエビといえば、どの図鑑でも「1cmに満たない」と説明されている種類だというのに、2cmもあったらそれははたしてチビウミシダエビなのだろうか?
…ということもあって、私には種類が特定できないウミシダシスターズにも入れてあるんだけど、でもどう見てもこの子はチビウミシダエビですよね?
ちなみに彼女がいるヤギにはもうひと周り大きなウミシダがついていて、彼女はそのウミシダにもついていることもある。
で、そこにはパートナーなのかどうなのかは不明ながらもう1匹エビがおり、ビッグワンに比べると随分小柄なんだけど、やはりどこからどう見てもチビウミシダエビだ。
というわけで、ここにいるエビもまた、チビウミシダエビに決定。
「チビじゃないチビウミシダエビコンテスト」があれば、間違いなく優勝を争うことだろう。
ウミシダが激減した近年はもう、砂地のポイントでチビウミシダエビに会うなんて夢のまた夢と思っていただけに、まさかの出会いにとっても心ときめいたのだった。
そういえばその昔、それ以前に比べ目に見えて透明度が悪くなり始めた頃、透明度が悪い分栄養分が豊富になってウミシダは大繁栄、そして同じく栄養分豊富の恩恵でとっても巨大なチビウミシダなんてものが出てきたりして…なんて書いていたっけ…。
まさかウミシダが激減していながら、チビウミシダエビだけでっかくなるなんて、まったく予想だにしなかったなぁ…。