甲長 10mm
サンゴヤドカリの仲間は明るく浅い環境を好み、昼間でも活発に活動しているものが多いこともあって、昔から知られている種類が多い。
ウスイロサンゴヤドカリもそのひとつで、アカツメサンゴヤドカリやクリイロサンゴヤドカリ、カザリサンゴヤドカリなどとともに、88年に刊行された図鑑に早くもその名が見られる。
ただサンゴヤドカリたちはわりと派手めであっても概して小型だから目立つわけではなく、一般ダイバーにはあまりなじみがないものが多い。
なかでもその名のとおり体の色味にこれといった特徴が無いウスイロサンゴヤドカリは、色だけではなく存在感まで薄い。
しかもリーフ内やリーフ上など、水深5m以浅をもっぱらの暮らしの場にしているようだから、水納島でボートダイビングだけしていると会う機会はほとんど無いかもしれない。
もっともウスイロサンゴヤドカリは、「沖縄の浅い海で最も多いサンゴヤドカリ」と言ってもいいほどの個体数なので、その気になりさえすればいつでも会えるヤドカリでもある。
彼らに会おうと思ったら、波の穏やかなときにリーフ上の浅いところやリーフ内をウロウロすとよい。
サンゴヤドカリだけあってサンゴの枝間にいることも多いから、浅場のサンゴは要チェックポイントだけど、サンゴの枝間にいるものは撮るのがムツカシイから、その周辺の岩肌に目を移すと…
小ぶりなものが2匹いることもある。
お好みの住まいは殻がわりと厚手の貝らしく、大きさの割には入り口の小さい貝殻から、陶器的スベスベ感があるハサミ脚や歩脚がのぞいている様子はなかなか可愛い。
あいにく彼らのお好みの貝殻は破損していたり石灰藻などの付着生物に覆われていることが多いため、貝殻も含めた全体がパッと見美しくない場合が多い。
そのためたとえそこにいたとしても、スルーされる率が高くなるのだろう。
ところで、薄色とはいいつつ、成長にともなって淡いブルーに色づいてくるウスイロサンゴヤドカリのハサミ脚は、左右で大小の違いも見られるようになる。
なのでこれくらいになっているとウスイロサンゴヤドカリであることがわかりやすいんだけど、もっと若い頃はハサミ脚が色づいておらず、大小の差もほとんどない。
クリイロサンゴヤドカリの稿でも触れたように、はたしてホントにこれはウスイロサンゴヤドカリなのか、それともクリイロサンゴヤドカリのホワイティヤングなのか、明確な指標をどこにも見出せないまま、とりあえず私はウスイロサンゴヤドカリってことにしているので、くれぐれも参考になさらないようご注意ください。
…どっちでもなかったらどうしよう?