体長 3mm前後(撮影したことがあるもの限定)
生きとし生けるものすべてを愛しすべてに興味持つ心は、それはそれで尊いものではある。
でも興味の対象がこのあたりの生き物にまで及んでくると、やはり一般社会の人々とはやや趣を異にすることを自覚せねばなるまい。
ワレカラの仲間同様ヨコエビの仲間も甲殻類に属するクリーチャーながら、「ヨコエビの仲間」という言葉の守備範囲はかなり広く、現在は相当上位の分類単位「亜目」3つ分の生き物たちの総称になっているそうな。
そのため「ヨコエビの仲間」のなかには深海に潜む体長30cmにも及ぶダイダラボッチという名の巨大なものがいるかと思えば、ミリ単位の種類も数多い。
また生息場所も空を除く地球上のありとあらゆるところにいるらしく、淡水や陸上に住むものもザラにいるようだ。
そのため日本で分類学的に確認されているものだけでも500種近くにおよび、世界でとなると1万種近くもの「ヨコエビの仲間」がいるという。
それほど数多くいれば、特に探さずともフツーに目に入っていそうなもの。
ところがダイビング中に出会うヨコエビの仲間たちはたいてい極小サイズで、あえて見ようとしないかぎりスルー確実な存在でしかない。
でもとにかくなんでもかんでも興味の対象になる方であれば、たとえば海中に転がっているブンブクの仲間の死骸に注目すると、たまに小さな点々がついていることに気づくことになる。
はて、この黒い点々はなんじゃらほい?
クラシカルアイでは確認不可能サイズながら、とにかく写真を撮って後刻大きな画面で見てみれば…
それがヨコエビの仲間であることを知る。
いわゆる「虫」が苦手な方なら思わず「ひぇ~ッ!」となるかもしれない。
しかし、これは様々な死体に集まるタイプのヨコエビで、こういう生き物がいるからこそ海をきれいな状態にキープされているわけだから、感謝こそすれ「ひぇ~ッ!」などと悲鳴をあげている場合ではない。
死体から死体へとホイホイ飛び回れるわけではないから、ときに彼らを砂底上で見かけることもある。
小さくとも黒いから目立つので、ともかく撮ってみたところ、後刻大きな画面で見てみれば…
背後にもう1匹いた。
透明でも同じ種類なのだろうか、それとも別のタイプなのだろうか。
死体ではなく、他の生き物に寄り添って暮らしているものもいる。
これはウミエラの芯の部分で、もちろんウミエラが開いているときにもチョロチョロしている(同じ種類かどうかは不明)。
変わったところでは、こういうモノの中に潜んでいるものも。
3cmくらいあるわりと大きめのホヤの仲間のなかで、なにやら動いているものが。
ファインダーを覗いてみれば…
紛うかたなきヨコエビ。
ホヤの中で暮らすこのテのクリーチャーなんて、正体を調べようにもどうしようもない…
…かと思いきや、だんなが徒然海月日記にて紹介したところ、研究者の方からたちどころにご教示があり、おかげでLeucothoe obuchiiという種類であることまで判明した。
アカデミズム方面の変態社会ぶりは、今やとんでもないことになっているのだ。
私のようなシロウト目でも、こういうところに潜んでいるものまで見慣れてくると、冒頭の写真のようなものに出会うとついつい「ビューティホー!」と喜んでしまうようになってくる。
特に何についているというわけではなく、単体で目立つものといえば、ほかにもこういうものや…
こういうものがいた。
ついつい「かっこいい…」と思ってしまう自分がコワい…。