20・消えたふくみみ?

 我々が次に目指すのは、ご存知ふくみみ家。
 2年前に久しぶりに石垣に来たときは、彼ら一家と会うのは実に10年ぶりだったのだが、これで3年続けて会うことになる。

 そんなに続けてしつこくお邪魔することはないじゃないかって言われそうだ。
 でも、いつまた10年近く会えなくなるか、いや、お互い齢も齢だし、いつ永遠に会えなくなるかわかったもんじゃないのだから、会えるときには会っておくにこしたことはないのだ。

 ただし、ふくみみ・おーほりはこの日日中仕事で、ユイマルは学校ということだった。

 父ちゃんと長男不在の家族。
 だったら例の店でお昼を一緒に食べに行こうか……などと計画しつつ車を走らせていると、いつしか見慣れない部落にさしかかっていた。

 あれ?こんな集落、道中にあったっけ?

 と思っていたら、いきなり「琉球真珠」の看板が。

 川平湾じゃんッ!!

 そういえばさっき、大き目のT字路があったっけ。
 一本道をまっすぐ行けばいいものとばかり思っていたから、まさか右折の必要があるとは知らなかった。

 <……って、カーナビついてんだろ??

 だから使えないんだってば。
 にしても、普通に考えても、島の外環道路なのだから、この先さらに北へと続く道が直線であるべきでしょう。
 本部半島内にこれ以上のものはないといっていい海洋博公園へ行く道ですら、浦崎の交差点では国道から脇道にそれる形で要左折なんですぜ。

 にもかかわらず、川平湾へ続く道のほうが太い直線で、さらに北部へと続く外環道が右折になっているってあたりが、石垣島における川平湾の底知れぬ存在感のでかさってところなのだろう。

 その時点で、現在川平湾付近という旨、うちの奥さんが電話でふくみみ・のりだーに伝えていた。

 「だったらそこから30分くらいですねー」

 で、本当に30分くらいで到着した。

 こんにっちはー!!

 シーン………。

 あれ?
 留守?

 でも、先ほどまで人がいました感たっぷりに、居間の電気が灯っている。
 しかし返事はない。

 しょうがないので、庭にいるアヒルさんやニワトリさんと戯れていると、ガレージ側の入り口にヒトの気配が。

 「すみません、私、クボザキと申しますが……」

 あ、エコツアーふくみみの大事なお客さんだったらどうしよう!!

 慌てて身なりを整え応対するワタシ。
 すると、

 「このたびは私どもの宗教のお話をさせていただこうと………」 

 あ………。

 すかさず応えた。

 すみません、私どもは客で、住人さんたちは留守のようですよ。

 そう言うと、宗教関係者は近隣の家に矛先を変えてくれた。

 でも……。
 住人不在の家で勝手にアヒルやニワトリと戯れている「来客」ってどうなのよ………。

 それにしてものりだー、どこに行っちゃったんだろ?

 まさか、子供が突然転んでおでこから血を噴出してしまって、急ぎ医者へ行ったとか?
 まさか、30分を3時間と勘違いしてどこかへお買い物に行っちゃったとか?<ありそう。
 まさか、目的の店に現地集合ってつもりですでに行っちゃったとか?<さらにありそう。

 その他いろんな「まさか」が去来するなか、そのどれもが彼女ならありそうな気がして、腹が減るわ身動き取れないわで困り果てていたとき。

 道の先から、乳母車を押すのりだーとキッズの姿が。

 実にの〜んびり歩いているではないか。
 我々の「まさか」の苦悩など、微塵も想像していなかったであろうことは間違いない。

 どうやら次男ツムグが、我々が到着しそうなタイミングで突如行方不明になったので、そのあたりまで捜索に行っていたらしい。
 無事に「保護」して戻ってきた彼女たち。

 久しぶりの再会の挨拶もそこそこに、ではではこの昼の目的地へ出発〜〜〜!!