21・エビもいいけどカレーもね♪

 我々が目指したのは、ほかでもない「新垣食堂」。
 目を疑うほどの安さで、美味しい美味しい牛そばを出してくれるお店だ。

 この日の僕は、久しぶりの超二日酔いだったので、肝臓を復活させるべく、この店のもうひとつの魅惑的メニューの一つ、牛肉カレーを食べる気満々でいた。

 車えび三昧という超ゼータクな日々を過ごし終えた今、さすがに海老への渇望感はない。
 むしろ、できるだけ海老以外の味覚に浸りたい。

 そんな僕にとって、カレーはまさにうってつけのメニューなのである。
 オセチもいいけどカレーもね、ならぬ、海老もいいけどカレーもね♪

 目指す新垣食堂は、ふくみみ家よりももっと北にある伊原間という部落にあるので、すこしばかり時間がかかる。
 お腹の減り具合もそろそろピークを迎えつつある。

 ついに到着。
 さぁ、シアワセの新垣食堂へ!!

 ………へ?

 休業??

 間の悪い大王でもある僕の場合とてもよくあることとはいえ、土曜日ですぜ?
 なんで???

 最高潮に盛り上がってしまったカレー待機態勢をどうしてくれるのだ!!

 おまけに、ここ伊原間あたりまで北上してしまうと、なかなか他につぶしが利かない。

 カレーどころか、お昼ゴハンにありつけるかどうかという大問題が。

 選択肢がほとんどない中、なんとかたどり着いたのが、今は亡き(?)シンスケのお店の隣にある、ナントカというお店。

 「そばはあるけど、カレーはどーかなー」

 のりだーにそう言われながら入ったお店は、けっこういい雰囲気の内装。
 子供たちも思いのほかいきなり暴れまわったりすることはなく、おちついてメニューを見ることができた。

 すると……

 おっ!!

 カレーがあるじゃんッ♪

 しかし!!

 車海老カレー

 え??

 今や日本食のひとつといっていいカレーライスなんて、世の中のどこででも食べられるメニューの一つ。
 そんな星の数ほどあるカレーライスのなかで、車海老カレーなんてメニューがある店が、いったいどれほどあるだろうか。

 しかもこのお店には、この車海老カレー以外にカレーメニューがない。
 車海老も大好きだし、カレーも大好きだけど、何も今このとき同時に食べたいわけではないのに。

 海老もいいけどカレーもね♪ってのは、そういう意味じゃなかったんですけど………。

 でも体が完全にカレー待機態勢だったので、逡巡しつつもこの車海老カレーを。

 ここでもやはり、大きな車海老のフライが3匹も載っているというのに、お値段たったの1200円。
 石垣島には、すでに相当車海老が浸透しているらしい……。

 僕以外のみんなは、八重山そば系メニューを。
 では、いっただきまーす♪

 あれ?
 ちょっと待てよ………。
 父ちゃんは仕事で、長男ゆいまるは学校。
 ってことは、現ふくみみ一家の人数は3人だよね。

 ってことは……………

 お誕生席にいる子は誰??

 「あ、ツムグの友達のニシドマリ君。近所に住んでるの。」

 最初に言ってくれよ……。
 もちろん、同じ車に乗っていたのだから道中その存在には気づいていたけど、ここに至ってようやくのりだーが紹介してくれたのだった。

 この日ツムグと遊んでいて、その流れのままここにいるのだ。
 近所の子がこうして他の一家とともにフツーにお食事するってのも、なんだか昔の日本のようでとってもいい感じ。

 八重山拳法という、我々はそれまで耳にしたことがなかった空手を習っているというニシドマリは(のりだー情報によると八重山拳法の気合の掛け声は「やいまー!!」というらしい……)、店のおねーさんが太鼓判を押しただけあって、大人一人前のそばを出汁まで完食。

 写真では一生懸命食べている最中だからおとなしく見えるけど、同じくそば自体は完食したツムグともども、電池が切れるまでエンドレスムービングキッズなのはいうまでもない。