27・そば締め
翌朝、朝7時半。 「うー………」 という重い声を引きずって、島Pは出勤して行った。 それで連絡船に乗って出勤って…………つらそう。<他人事♪ 島Pを離島桟橋まで送ってからいったん戻ってきてくれたかなえ嬢も、8時半には出勤せねばならないということだった。 ほんのひとときとはいえ、ここでもやはり、彼らの日常生活に乱入してしまった我々。 「年に一度くらいは年次報告をしに来るように」 報告をしていたのは貴兄のほうでは………? レンタカーを店の駐車場に置きっぱにさせてもらっていたので、出勤するかなえ嬢に「やまもと」まで送ってもらった。 「かまぼこ屋に行ってみたい」 うちの奥さんが言うので寄ってみた。 路上駐車にしたので車内で待ちながら、店舗をボーッと眺めているうちに、店先の幟に気がついた。 この店は!! 5年前、我々が最初で最後の離島フェアに出展したとき、石垣島の物産コーナーで買って食べた、あのジューシーかまぼこを売っていた店じゃないか!! あれは美味しかったなぁ。テニスボールくらいの大きさの……。 きっとうちの奥さんはそれを買ってくれているに違いない。 戻ってきたうちの奥さんに聞いてみると、 「買ったよ!」 おお♪ 「……小さいほうだけど。」 あ…………。 でっかいほうを食べたかったのに!! かまぼこ屋さんに寄ってもまだ時間があった。 「最後に八重山そばを食べたい」 またうちの奥さんがわがままを言い出した。 フツーに八重山そばを食べて、旅行のシメとしたい…。 そう思い始めると、何が何でも食べたくなってしまうじゃないか。 周辺を流してみたものの、やはりなかなかそういう店はない。早くても11時から、ってのが相場のようだ。 そばだったら、注文したらすぐに出てくるしサッと食べられるから、10時半オープンなら11時レンタカー屋さんでも充分間に合うだろう。 時刻は10時10分。 ダメモトで入ってみると、そもそも10時半からオープンするつもりなど皆無状態のおばあ2人が、「準備中」の表札どおり本当に準備をしていた。 「じゃあ開店にしようねぇ」 といって、実に快く入店を許してくれたのだった。 はたして、シメの八重山そばは?? うーん、二日酔いの胃に優しい♪ 店内を見回してみると、石垣市内の八重山そばナントカカントカで見事1位をゲットした、という賞状が飾られていた。 やはりスタンダードなそばはこうでなくちゃ。 このお店は夜には居酒屋になるようで、テーブルにあったメニューをチラホラ見てみたところ、非常に気になるものが。 残念ながら車えびメニューは無かったかわりに、「サメ」がついたメニューのオンパレードだったのだ。 我々のために予定よりも早めに開けてくれたっぽいのに、売り上げに貢献できたのは八重山そば2杯でたったの1000円。 にもかかわらず、快く応対してくださったお母さん方に感謝感謝。 市街地のど真ん中にある店ながら、田舎の素朴なそば屋テイスト溢れるお店なのだった。 時刻は10時50分。 |