26・満点パパ
Yさん邸で2晩に渡りすっかりお世話になった我々は、去る日になってもなお、午前中は映画を観て、お昼にはボンゴレを堪能し、午後にはリビングで美味しいコーヒーをいただきながらのんびりしていた。 昨夏、我が家が急遽「狭く」なってしまったあとも、狭けりゃ狭いでなかなか便利だなぁ…と思いながら過ごしてはいるものの、やっぱり…… 広い部屋っていいなぁ!! おかげで、気がついたら時刻は夕刻にさしかかろうとしていた。 そろそろYさん邸を辞さねばならない。 丸三日間借りたレンタカーなのに、昨日一日はエンジンすらかけなかった。 ……ここは水納島ではなかった。 Yさんに教えていただいたとおり、ちょっと北上してから右折、そしてトンネルを抜けるコースで市街地へ。 明日石垣島を発つ我々にとって、今宵は今回の石垣行の締めくくりの日である。 焼肉のやまもと!! この日のために、牛肉系は2週間以上もシャットアウトしていた我々である。 そして。 「やまもと」といえば島P一家、島P一家といえば「やまもと」。 なにしろ今年彼らから届いた年賀状ときたら………。 仕事がら、毎年いただく年賀状はけっこう多い。 どんだけ肉ジョーグーなんだよ、島P一家………。 でもこのお店の素晴らしさをすでに知っているものとしては、正月早々… ウラヤマシイッ!! ……なるほど、そういう気にさせて勝ち誇る作戦だったのか。 こんな年賀状を見せつけられて、石垣まで来て「やまもと」に寄らずに帰るなんてありえないじゃないか。 というわけで、今回のミッションの日程が決定した時点で、何をさておいてもこの日の「肉」をキープした我々なのだった。 この日島Pは勤め先の小浜島から帰ってきてから、ということだったので、7時半に現地集合ということにしていた。 ところが市街地に到着してもまだ随分時間が余っていたため、サザンゲートブリッジなる立派な橋を渡って八島人工島に行ったり、ゆらてぃく市場に寄ってみたりした。 ゆらてぃく市場とは、名護にあるJAやんばるファーマーズマーケットの八重山版で、昨年4月にオープンしたらしい。 「日本最南端のファーマーズマーケット」 をウリにしているようだ。 ゼイタクなスペースの使い方(逆にいうと無駄が多い)は名護店と同様ながら、生産者名が表記された魅惑的な食材が、かなり安価で売られているのもまた名護と同じだった。 名護店が観光客にとっても魅惑的な店であるのと同じく、ここも間違いなく観光客にも受けるだろう。 ちなみに「ゆらてぃく」とは八重山の方言で、いらっしゃい、みたいな意味らしい。 そうこうするうちにいい時間になったので、「やまもと」へ! フフフ………ほら、そこだ!! あれ? あれれ? アッ!! そういえば「やまもと」って、移転したんだったっけ。 しまった、昨年行った現店舗はどこだ?? そういうときこそカーナビだ!! ………使い方わかんないよぉ(涙)。 しょうがないので、車に積んでいた最新版のタウン誌の地図を見て、しかるのちにカーナビの地図上のそのあたりを触ってみると…… 「目的地を設定いたしました」 おお……!! で、左に曲がれの右に曲がれのやいのやいの言ってくるんだけど、どうにも意味不明なので、結局大体の見当で走らせたら… あった♪ 誰もが当たり前に使えるものをまったく使えないでいると、誰にとってもフツーのことが、とてもドラマチックになる。 ほどなく島P一家もやってきた。 そして、久しぶりの挨拶もそこそこに、ロッテの選手たちのものであろうサインで溢れている部屋で、
アリッ乾杯!!(一杯目ではありませんが…) 例によって焼肉奉行島Pのおかげで、ただ待っているだけで続々と焼きあがる極上石垣牛の数々。 毎日食べ続けられるほど胃は若くはないけれど、こうしてたまに、しかも2週間牛肉断絶状態でいただけば、若かりし頃の「店食い潰したるッ!!」勢いでガッツリいただける。 このあとは、島P宅で家飲み。 ……といいつつ、島P絶好調でかなり飲んでたけど。 フツーはホストが話を聞く側になるんじゃね?って話もあるだろうけれど、もちろん彼にはそんなことは関係ないのだ。 話を聞くと、たしかに彼の性格上、かなり神経を使う日々を送っているということがイタイほどよくわかってしまった。 しかし。 今宵遅くまで我々に付き合ってくれた次女ミオは、石垣市内の中学生英語のナントカコンテストで市内ベスト3に選ばれ、副賞として、昨夏ハワイでホームステイしてきたというし、パパ島Pのケータイ画面にしっかり納まっていた長女ナツカは、すっかりレディになっていて、この春高校卒業。 娘たちは実に立派に育っているじゃないか。 こうして娘たちの成長ぶりを目の当たりにし、そして毎日楽しそうなかなえ嬢の様子を見ても、そうやって彼が長い間一生懸命働いてきたことが、いかに意味のあることだったかってこともまた、よぉーくよぉーくわかったのであった。 人生まだまだ先は長いけど、この先もきっと楽しいことの方が多いことだろう。 |