9・じんべい
屋上での撮影を終えた我々を待っていた次なるミッションは、車えび料理の撮影第三弾である。 目指す場所は川平湾。 最大の観光地ではあるのだけれど、地元民がわざわざ観光に来ようとするはずはなく、ネタ的に超ベタということもあって、過去2回の石垣島滞在では、誰もここに我々を案内してはくれなかった(実は来てみたかったりする)。 なので、僕は実に90年の秋ごろ以来22年ぶり、うちの奥さんも、95年に水納島の婦人部旅行で石垣島を訪れて以来という、超久しぶりの川平湾。 今回訪れるお店は、そんな川平地区にこの店ありと知られた「じんべい」さん。
夜は居酒屋にもなる、地元の方々御用達のお店らしい。 車えびの天丼!! メニューにはその御膳版もあって、天丼プラスいろいろな小鉢がついている。 その昔、池袋西武の地価食品売り場で売られていた活車えびの価格が、2匹で1200円だった。 これもまた、 (株)エポック石垣島の、車えび普及活動に向けた熱意のたまものなのである。ちなみに、食材としての車えびのヘルシーさを滔々と語ってくださっていたえび屋−Mさんは、ここでももちろん車えびの天丼を召し上がるのだろうと思いきや、ただ1人焼肉系のガッツリ丼に心を奪われていたのだった。 激ウマの天丼に舌鼓を乱打しまくって、いやあお腹一杯、極楽極楽……となっていたところへ、じんべいの大将がさらにとんでもないものを持ってきてくださった。 車えびのてんぷら盛り合わせ!! これをただ塩だけで味わう。 これがまた………………エビの旨み甘み成分グリシンが、舌の味蕾という味蕾を、治療院ナチュラルのなちゅらる院長のマッサージもかくやというほどに、これでもかと刺激しまくる。 美味いっす!! こんな美味しいエビの天麩羅、人生で初めて、そして最後かもしれない………。 後刻別の場所でえび屋−Mさんから、天丼に載っていた天麩羅のエビと、盛り合わせの天麩羅のエビと、何がどう違うかわかった?と訊ねられた。 どっちも激ウマだったし、車えびは車えびだし、えーとえーと…… 豆腐脳が答えを導き出せるはずはなし、応えあぐねていたら、教えてくれた。 「あとから出てきた盛り合わせの天麩羅は、エビがみんなシャッチョコばってたでしょう?」 たしかにエビたちのポーズはどれもこれも、これから戦闘に突入する重装騎兵団のごとく威勢のいいポーズだった。 「あれは、生きているエビを衣につけて油に投入してあるから。」 なるほど!! なんてゼータク!! 今写真を見ただけでも舌が思わず震えるほどの、激ウマ車えびの天麩羅………。 もう帰ることのない、夢のひとときなのだった。 |