Bてっちゃんグランド09!!(3月1日)

 当サイト旅行記で埼玉方面に帰省するたびに登場しているのが、知る人ぞ知る、てっちゃんグランド。<ご存知ない方はまずはこちらへ。
 付近に住むゲストの方などは、散歩でグランドに立ち寄ったところ、ついに父ちゃんと会ってしまったというエピソードもあるほどだ。

 そのてっちゃんグランドを見たい。

 …それがウロコムシ武田さんのワガママその1なのだった。
 ラーメンの後、我々は、都内の駅という駅の階段の位置を熟知しているウロコムシさんのガイドのおかげで、車両を降りたらそこに階段、という完璧な乗り継ぎの果てに西武池袋線元加治駅で下車、無人駅の改札を通過して、一路うちの奥さんの実家を目指した。

 元加治駅を降り、実家へ向かう道にウロコムシご夫妻がいる。
 うーむ、このありえなさ感はいったいなんだ………。

 実家に戻ると、前夜は仕事で留守だった父ちゃんが迎えてくれた。
 リビングで、お茶など飲みながら語らう父ちゃんとウロコムシ夫妻……。
 うーむ、このありえなさ感はいったいなんだ………。

 で、一服した後、いよいよてっちゃんグランドへ!!
 このグランドに、ついにウロコムシご夫妻が!!

 うーむ、このありえなさ感はいったいなんだ………。

 09年を迎えたてっちゃんグランドは、さらに進化していた。
 なんと、地域住民に募金を募り桜の苗を購入、そしてそれらがすでに植栽されていた。

 入間川沿いのこの土手が、桜の名所となる日も近い……。
 ちなみに、苗の周りのサークル、これは近くにあるセメント工場で作られているコンクリートのテストピースというヤツで、工場に山ほどあるこのピースを、父ちゃんはこのグランドに一輪車で運び込んでいるのだ。
 このグランドを訪れるたびに何度も言うけど、おそるべき労働力………。

 近頃では行政にも働きかけるようになったそうで、それ以外にも、ここを訪れる多くの人たちが、快く協力するようになっているともいう。
 はじめの頃は「いったい何をやっているんだろう?」的な胡散臭げな視線を投げかけていた人たちも、見る見るうちに整備され、形を整えていくのを目の当たりにすれば、一肌脱ごうということにもなるのだろう。

 「他にやることねぇからよぉ…」

 僕がその労働力を称えるたびに、父ちゃんはそういって謙遜するのだが、いかに趣味とはいえ、これほどまでに他人のためになる趣味が他にあろうか……。
 なんだか僕は、黒澤明の「生きる」を思い出していた。
 始めることによって、何かが動き出すのだ。

 春には桜が、夏にはひまわりが咲き誇る、付近住民憩いのスペースが、今年もさらなる発展を遂げている。
 なかでも僕のお気に入りはこれ。


ウロコムシご夫妻にいろいろ説明する父ちゃん

 このベンチでビールでも飲みながらのんびり川を眺めていたら、さぞかし心地いいだろうなぁ!!
 次回行ったら実現させようっと。

 ちなみに、前回立ち寄った際に紹介した例の時計は、グレードアップしてこうなっていた。

 なにはともあれ、みなさん、お近くにお立ち寄りの際には、是非足をお運びください。いろんな人に見てもらってこその「作品」なんですから。

 箸より重いものなど持ったことがないオボツチヤマのウロコムシさんはともかく、昔から父君のこういった作業を目の当たりにしてきたナゾナゾライバルさんは、とてつもない作業量に、大きな目をさらに丸くしておられた。
 わかる人にはわかるのである。

 さあて、ご希望どおりてっちゃんグランドもご覧いただけたし、ウロコムシさん、どうもお疲れさまでした!!

 ……とはならないのだった。
 ウロコムシ第2のワガママは!!

 「一度鳥吉に行ってみたいんだよねぇ」

 そんな、ありえない要望をおっしゃられても………

 ………ありえてしまったのだった。
 うーむ、このありえなさ感はいったいなんだ………。

 実は、ウロコムシさん的にはグランドよりも鳥吉のほうが比重が高く、できることなら「父ちゃん」にもお会いしたい、というワガママが最初にあって、グランドはおまけみたいなものだったんだけれど、僕の圧倒的に用意周到な準備作業のおかげで時間ができ、どちらも実現してしまったのだった。

 それにしても、ご存知のとおりここ鳥吉といえば大昔からうちの奥さんの実家御用達のお店である。何もない元加治駅前で、現在唯一その名を関東地方に轟かせている焼き鳥屋さんなのである。
 若夫婦の代になってもその利用度は変わらず、我々が帰省するたびに必ず一度は来店している店でもある。
 だからといって、僕たちはお邪魔する立場なのだから、そこへゲストを連れて行ってどうするのだ、と僕は極めて思慮深く反対していたのだけれど、これがまたそういうことに関しては傍若無人のうちの奥さんはやたらノリ気で、おまけに父ちゃんは賑やかなことが好きだから同じようにノリノリ。

 それやこれやで結局こういうことになったのだった。
 若夫婦一家、すまぬ……!!

 でまたノリノリだった父ちゃんが、どういうわけかウロコムシ氏と「観光」について熱く語っている。お酒が進むに連れてウロコムシ氏も冗舌になり、挙句の果てには父ちゃんの人生を傾聴してたのだった………。

 重ねて言おう。
 このありえなさ感はいったいなんだ………。

 後日、父ちゃんがポツンと一言。

 「あの武田さんって人も、変わってるよなぁ」

 その場にいた一族郎党誰もが、激しく同意したのは言うまでもない。