31・余録・福岡空港暖簾街
行きとは真逆の上々のお天気のもと、DASH8に乗り込む。
そして定刻どおり午後3時30分に、DASH8は離陸。 念願がゲンジツとなり、そして慣れ親しんだ風景が、たちまち眼下の彼方へと去っていく。 さらば五島、福江島。 帰りの飛行は順調で、しかもどういうわけだか定刻よりも圧倒的に早く福岡空港に到着した。 猛烈な偏西風でも吹いていたのだろうか。
早く到着するに越したことはない。 おまけに我々が搭乗予定の那覇空港行きANA便は、早くも遅延表示。
となれば、福岡空港でゆっくりさせてもらいましょう。
行きでも触れたとおり、福岡空港内の飲食店は選り取り見取りで、本格的に飲んでしまえる店も数多い。 行きの福岡空港滞在時からとっても気になっていたのがこちら。
ごま鯖。 福岡ではゴマサバが名物である、ということは、この空港内暖簾街を歩けばすぐにわかるのだけど、はて、マサバとは別種のゴマサバという種類のことなのかと思いきや、福岡の名物料理でいうところのゴマサバは、胡麻鯖なのであった。 生のマサバを胡麻タップリの特製タレにつけていただくものなのだそうな。 和名ワモンダコを島ダコと呼ぶ一方、それとは別にシマダコという種類もいるようなもんですかね? つまりは産地福岡であれば、サバは生でいただける、という鮮度の良さを誇る料理なのだろう。 たしかに美味い!! でもしめ鯖が好き(汗)。 といいつつ、もちろんビールは進む(ちなみに時刻は午後5時)。
……オタマサは。 その他、鳥皮ポン酢などをいただきつつ、壁に所せましと貼られているメニューの中から気になるモノを見つけた。 穴子の刺身!!
穴子星人を自称するワタシではあるけれど、アナゴといえばこれまで、火を通したものしか食べたことがない。 こうなっていた。
予想外の佇まい!!
黙って出されればとてもアナゴとは思えないその姿。 同じく薄いお刺身系で、カワハギも。
絵的に器はちょっと選択ミスじゃね?ってところながら、肝とともにいただくカワハギはやはり美味い。 これらの垂涎メニューを肴にノンアルコールビールからお茶へと移っているワタシの向かいでは、
…日本酒へと突入している人がいた。 ところで福岡といえば。 先年福岡在のゲストと醤油談義に花が咲き、福岡で刺身醤油といえば甘口、というのがド定番だそうで、その醤油じゃなきゃ刺身ではないとまで言い切るヒトまでいるという。 その後その甘口醤油を試す機会があり、なるほどたしかに濃厚かつ甘い味は、それはそれで刺身にアリであることを知った。 で、こちらのお店のテーブルの上にあったのが……
醤油と書かれたもののほかに、こうして「さしみ」と書かれたものも併せて置いてあるのだ。 さてこの場合、福岡ならではの甘口醤油は、もちろん「さしみ」と書かれたこちらでしょう。 と僕は素直に理解したのだけれど、オタマサは、 「いや、こちらの人たちにとって醤油といえば甘口の醤油なのだから、さしみと書いてあるのは旅行者向けのフツーの醤油なのでは」 と裏を読む。 はたしてどっちが正解か、ちょっと小皿に出してまずは舐めてみた。 すると……どちらもお互いの意見が正解であると信じる。
シンジツはどちらか。 すると…… やっぱり「さしみ」が甘口醤油!! いや、フツーそうだよなぁ、やっぱ。 昔から国語の授業では、裏を読み過ぎるあまり読解力の点は悪かったというオタマサ、ここでもいかんなく実力を発揮。 でも、味してみてわかんないってのは、単に飲み過ぎなんじゃね?
ここまで頼んだお刺身は、福江島では食べていないものばかりだった。 五島対福岡、カンパチ対決。
うむむむ…福岡もなかなかやる。 産地はそこから出ていくだけなのに対し、大消費地はそこらじゅうから美味しいモノが集まるため、周辺の産地以上に選り取り見取りになるのだろう。 福岡のように産地に近い一大消費地ともなると、ひとたび空港の外に出て街を歩けば、阿鼻叫喚酒池肉林の大フィーバーになるに違いない。 福岡で過ごす夜も楽しそうだ……。 このまま飛行機の時間までここでダラダラ過ごす、という手も無くはなかったものの、お茶でずっと肴をいただき続けるというのもいい加減限界に近づいていたので、このあとはワタシのワガママをきいてもらうことにした。 また別の店に、気になるメニューがあったのだ。 こちら。
焼きカレー♪ YOSHIMIという北海道をメインに展開している洋食屋さんで、門司名物の焼きカレー。
ここもやはり窓から滑走路を一望できる。
門司の焼きカレーといえば、一度ゲストからレトルトの品をいただいたことがあった。
はたして本場…じゃないけど、福岡の…でも北海道の店だけど…焼きカレー、お味は?? ん? んん?
レトルトのほうが美味しい……気がするのは気のせい? なんてことだ、行きも帰りも福岡空港でチェックしていたカレーを食べたのに、どちらもレトルトに軍配を上げてしまうなんて。 そんなワタシの内心のショックなどどこ吹く風で、ここでもやはりヱビスの生ビールを飲んでいるオタマサであった。
了。
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