17・ふくみみツアー・カヌーでGO!
翌朝。 9時に、と約束しておきながら、その直前までYさんスペシャルブレックファーストを楽しんでいた我々は、彼が9時キッカリにYさん邸に到着した頃にはまだ荷物もまとめておらず、着替えてすらいなかった。 「まぁ、コーヒーでも飲んでってもらえばいいか…」 などと事前に言っていたのは言うまでもない。 さて、この日の我々はいったい何を? 今日はエコツアー!! どれもこれも面白そうな様々な冬メニューのなかから我々が選んだのは、メニューの中でひときわ異彩を放っていた「廃村ツアー」。 ただし、廃村ツアーは半日で済むので、もう半日をどうするか。 「オモトダケに登ってみた〜い」 といううちの奥さんのワガママをなんとか押し切ったものの、ではどうするかという具体案はまったく考えていなかった。 「カヌーでマングローブに行ってみます?」 そうそう、それは面白そうって思ったんだけど、潮が合わないんじゃない?? 「今から行ったらちょうど満潮だし、大丈夫ですよ」 あ、そうか! というわけで、まずはカヌーでGO!! 一年ぶりにふくみみ邸に到着すると、我々の今宵の宿泊のための掃除をしてくれていたらしいのりだーが迎えてくれた。 とりあえず荷物を置かせてもらって。 場所は吹通川というところで、カヌー出発基地は、河口に広がる海岸縁にあった。 カヌーといえばオールを使う。 なんか、スキーのときみたいにオタマサになりそうな気がするんですけど……。 そしてふくみみ・おーほり指導のもと、いざ船出!! ……うれしいらしい。 ……さらにうれしいらしい。 そういえば、ここ吹通川といえば。 「KINDON マングローブ域をゆく」 将来、自身がどうなるか、まるで大雨のあとのマングローブ域の水のごとく不透明だったあの頃、彼は一人でこの川の中で潜っていたのだ。 あの頃彼のカメラに収まった数々のお魚さんたちは、まさか彼がその後世界を股に架ける海洋写真家になろうなどとは思ってもいなかったことだろう。 多少の感慨に浸りつつ、カヌーを進めていくと、あたりは獅子神様が出てきそうなマングローブの密林に。 風の音、鳥の声、そして木漏れ日………。 ……とってもうれしいらしい。 我々がそうやって見とれている間、ふくみみ・おーほりは…… 仕事をしていた。 さらにこの支流をさかのぼったところで、半舷上陸。 場所によっては、昨年10月の雨の際の激流でこの巣穴が壊滅したところもあったらしいのだが、そんな場所でも、その後着実に復活。 このマングローブに棲息するすべての生物が、どれもこれもいつでも力の限り絶好調状態だったら、それはそれでうまくいかないこともあるのだろう。右に左に微妙な勢力的バランスを保ちながら繁栄を続けているってことは、つまりその時々で勢力が減退する動物や植物がいるってことでもある。 だから、ときどきこうしてシャコの巣穴が流されるというのも、長い目で見たバランスという意味ではあってもおかしくはないのかもしれない。 ただ、それが度を越してしまうと……? そのあと我々は、別の支流を遡った。 というわけで、明日のふくみみのため、ガジュマルを捜索するのだ。 再び半舷上陸し、話を聞いてある程度見当をつけていた彼について歩いていくと………… あった!! たしかに、いかにもキジムナーが住んでいそうな、存在感のある立派なガジュマルだ。 ところで、ガジュマルといえば。 で、昨夜Yさん邸でもそういう話になっていた。 また、まったくそれとは関係なく、島を訪れたとある方が不意におっしゃることには、 「あの辺はなんかあるよ………」 その方は普段から「気」関係の特技(?)を持っておられる人で、おばあたちの話なんて微塵も知らないにも関わらず、いきなり感じた場所が水納島でも有数の「そーゆー」ポイントなのだった。 そんな話をしていた翌日に……。 しかも!! このガジュマルの直下に、こんなものが!! ヒェーーーーーーッ!! こ……これ、ヤギですかね………?? ここからこの旅行記は一気にホラーになっていくのか!? と思ったら… ウーホホーイ♪ おあつらえ向きにガジュマルから垂れ下がっている蔓で遊ぶオタマサ。 裏側の岩伝いに、ガジュマルに登ってキジムナーになってみた。 撮影:ふくみみ・おーほり するとそこからの眺めは、下からはけっして見られない、マングローブの樹冠が広がる世界だった………。 そんなこんなで、ふくみみエコツアーによる我々の人生初レジャーカヌー体験は、マングローブの素晴らしさとちょっとしたホラーを味わいながら、無事に終了したのだった。 さあて、このあとは昼食だ!! |