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先に触れたとおりYさんは、うちの奥さんが昔勤めていたサンシャイン国際水族館での元上司だった方である。
もう随分前のことになるけれど、サンシャインが大々的にリニューアルし、それまでのちょっと昔っぽいイメージから、一気に今風のエコパーク水族館に生まれ変わった。
何を隠そうこのYさんこそが、その大リニューアルの陣頭指揮をとった方なのである。
というか、現在のサンシャイン国際水族館のありようは、ほとんどそのまま彼の趣向によるといっても過言ではない。
※その後さらに大リニューアルが行なわれ、名前も「サンシャイン水族館」に変わっている。このリニューアルにはYさんは関わっていない(2012年追記)
そんな水族館業界の第一線で大活躍中だった方が、心機一転、石垣島に居を移して隠遁生活をする、という計画を発動された。
で、石垣島に土地を購入し家を建て、さあ、これからやっと石垣でのんびりした生活を!!
……という矢先に、館長に就任。
よりによってこういうタイミングで……というあたりが人生って面白い。
館長就任と同時に「じゃあ辞めます!」ってワケにもいかず、石垣へはまず奥様であるヒサコさんが、3匹の猫ちゃんたちとともに一足先にお引越し。
その年のクロワッサンは財政的にも石垣島に行ける余裕があったので(ちなみに今回の石垣行の旅費はすべてうちの奥さんのお小遣い)、ここはひとつ新築祝いで石垣島に行こう!!
…という計画を発動しようとしたものの、せっかくだから旦那さんも引っ越してきてからお祝いに行こう!とうちの奥さんがいうので延期。
そうこうしている間に、すでにYさんもこの石垣で夏を2度過ごしておられるのであった。
在職中も退職後もずっとお世話になり続けているくせに、彼らが引越しで最も大変だったときに一切何もお手伝いすることもなく、今回「お宅訪問」てなことを言いながら、またまたお世話になる我々夫婦。
……申し訳ございません。
そんなYさん邸に向かい、雨が降るなか島P夫妻の車は走る。
すると、雨のために人っ子一人歩いてはいない歩道を、雨に打たれつつ一人黙々と走っているランナーの姿が。
もしかして???
え?まさか!?
そのまさかのマサカッちゃんだ!!
こんなとこで何をやってるの??
と一瞬思ったけど、彼はアスリートなのである。
日々のランニングは完全に日課となっているのだ。たとえそれが旅先であろうとも………。
……って、何もこんな雨の日に走んなくたって。
6時間ギリギリで滑り込みセーフのヘナチョコと、3時間台で走れるアスリートとの違いがそこにある。
ちなみにこの日のマサカッちゃんたち夫妻は、朝の便で竹富島に渡り日帰り観光をしてきたのだとか。
しかし大雨強風だったのは竹富も同じだった。
朝方の青空にすっかり騙された彼らは、竹富島でただただ風雨に曝され、観光どころじゃない1日の果てに大時化の海を乗り越えて、ほうほうのていで帰ってきたのだという。
なにもそんな思いをしたあとに雨の中走らなくとも……。
しかし…あえて繰り返し言おう。
それがアスリートなのである。
そしてついに、 Yさん邸到着!!

写真は後日晴天に恵まれた日に撮ったもの。
(そのときすでにマサカっちゃん夫妻は沖縄を離れていたのだった…)
おお……。
聞きしに勝る大豪邸。
400坪もの敷地の周りにはグルリとアレカヤシが生え揃い、その向こうには、なだらかな斜面の果てに青い海が見える。
どう見てもどこかのリゾートだ。
一口で言うなら、「沖縄に移住してこんな生活をしてみたい……」と多くの沖縄フリークの方が遠い目をして憧れ続けているであろう夢のようなお家が、ゲンジツにここにあった。
広い広い庭には芝が植えられていて、そのさらに先には家庭菜園が。
家庭菜園というには広すぎるその耕作地は、もともとが畑ではないこの土地をお二人でコツコツと掘り返し耕し、丹精込めて作られたものだ。
掘り起こして出てきた石で畑のセパレーター用の立派な石垣を作れてしまうくらいだから、 100パーセント人力による土地改良(?)作業は、想像しただけで気が遠くなる……。
家でやることがたくさんあって……というお話を聞いていたけれど、たしかにこれじゃあ、いくら時間があっても足りないくらいだろうなぁ…。
東京ではマンション暮らしだった3匹の猫ちゃんたちは、野山を駆け回れる生活にとても満足しているようで、かつて我々は顔すら見ることができなかったシャイな子ですら、普通に近寄ってきて撫でさせてくれた。
動物にも人間にも、環境が与える影響って計り知れない。
101号室です!という部屋に案内してもらって旅装を解いたあと、島P夫妻ともども、Yさんこだわりのコーヒーをご馳走になった。
このコーヒー、我が家で飲んでいるチープなコーヒーの100倍美味しいので、この後何杯もいただいてしまった……。
ヒサコさん手製のフィファチ(ピパーズ、ヒバーチその他いろいろ方言名あり)入りアンダギーがまた美味しい。
考えてみると、Yさん邸にこうして島P夫妻と一緒にいるってこと自体、これまではありえなかった組み合わせなのに、もはやまったく違和感がないところが面白い。
みんなもう、石垣市民なのだ。
そうこうするうちにアスリートマサカッちゃんが帰ってきて(彼ら夫妻もこの日Yさん邸宿泊)、ほんでもって島P夫妻は、そろそろ娘が帰る頃だからということで帰宅。
せっかくの休日を我々のためにありがとう!!
次回は是非、水納島で!!
エンドレスはいいけどリピートなしでヨロピコ。
都内にお住まいだった頃から、Yさんのお家の中はヒサコさんの趣向でジャングルのように観葉植物だらけだったくらいだから、もちろん石垣のおうちも、グリーンで溢れているのは庭だけではない。
リビングはもちろんのこと、晴れていれば湯に浸かりながら海が見渡せる浴室もまた、ヒサコさんの手によるグリーンインテリアが素敵で、湯船にずーッと浸かり続けていたくなってしまう……。
ものの本によると、長居したくなるお手洗いは風水的にはよろしくないそうなのだが、浴室ならどれだけ長居したくなっても問題ない。
で、脱衣所にヘルスメーターが置いてあった。
どれどれ、フルマラソンを完走したことだし、5キロくらい減ってたりして……エヘッ♪
急速に猿飛エッちゃん化しつつちょっと乗ってみる。
ん??
メガネの曇りを拭ってもう一度見てみる。
ん??
乗り直してみる。
ん――――ッ??
激増!?
なぜだ、何がどうなっているのだ!?
答は実に単純明快だった。
フルマラソンを走ったとはいえ、道中はずっと水分を補給していた。それまでの一週間は炎症のために休んでいたし、マラソンの前日も、当日も夜は食って食って食いまくっているではないか。
それに加えて、うちの奥さんによって衝撃的な事実が。
我が家の体重計が狂っている!?
そうなのである。いまだ針が左右にビヨヨンと揺れ動くアナログ方式の我が家の体重計は、正確無比なデジタルヘルスメーターが示す数値よりも2キロほど軽く表示されるらしい……。
なんだかなぁ……。
情け容赦なくバシッと表示されるデジタルより、乗るたびに多少の誤差が出るアナログのほうが、人肌のぬくもりがあるじゃないか……。
正確無比とは、時として無慈悲でもある。
そしていよいよ、今宵の宴の始まりだ!
この夜は、前日沿道で声援を送ってくれたふくみみ一家も遥か野底から駆けつけてくれて、Yさん邸は一大宴会場に。

でまた、Yさんご夫妻が次々に出してくださる肴が凄いのである。
どれもこれもイマイユのお刺身のオンパレード。
いったいこれは??
なんとすべて、Yさんが電灯潜りでゲットしてきたものなのだ。
Yさん宅のお隣にダイビングサービスがあって、そのオーナーさんにいろいろ教わりながら、今ではYさんは一人で夜な夜なイノーを泳ぎ倒しては、美味しい魚やコブシメ、タコなどをゲットしているのだとか。
「おもしろい!!」
と、すっかり電灯潜りにはまっておられるYさんに、翌日伝家の宝刀とも言うべき愛用のモリを見せていただいた。
それはステンレス製の完璧手作りの逸品。
引き抜く際に魚を傷めないよう、あえて返しを取り去った二股のヘッドが美しい。
ライトはバイクのライトを利用した手製、そのバッテリーもバイクのバッテリーで、それらが海仕様状態に仕上げられている。
庭の作業の水道の配管などと同じく、かつての水族館での様々な技術と経験が、この地での生活にいかんなく発揮されているのだ。
水族館ではお客さんに見ていただくものだった魚が、ここでは食べて楽しむものになったあたりがちょっと(?)違うだけ。
こんなに美味しい刺身や煮物を食べてしまっては、魚たちを観る目が変わるのも無理はない。
だって、ソウシハギの刺身の美味いこと!!
この豪華海の幸オンパレードの脇で、子供たち用のアトラクションもかねた企画モノとして、ふくみみ一家がたこ焼きを作ってくれていた。
通常のたこ焼きの具にモズクやアオサを投入したスペシャルバージョンは、当初どう見ても赤ちゃんのゲロ状態だった。
なかなか出来上がらないたこ焼きを気にしながら、ふくみみ・おーほりが、誰も言えなかった勇気の一言を口にした。
「なんか………どう見てもこれ、いらないんじゃない??」
すでにテーブル上は肴たちのオンパレード状態だったのだ。
しかしそれにも負げずふくみみ・のりだーがこねくり回しているうちに、赤ちゃんのゲロはついに立派なたこ焼きとなった。
これがまた思いのほか(失礼!)美味しい!!
やるじゃないか、モズク・アーサ入りたこ焼き!!
みなさん是非一度お試しあれ!!
お邪魔するに際し、我々は一応手土産代わりにお酒を持ってきていた。島ナイチャーに泡盛ってのも芸がないから、もちろん秘蔵の日本酒を。
が、持ってきたのはいいのだけれど、あまりに美味しい肴(とたこ焼き)のオンパレードのせいで、自分たちでたらふく飲んでしまった……。
そんな楽しい宴席の果てに、翌日の予定が決定された。
野底マーペーに登ろう!!
あ……あのぉ…………僕C−3POなんですけど?
あ、そうか!!
Yさん邸に到着した早々、どういうわけかマサカッちゃん夫妻が僕たちの筋肉痛を気にしてくれていて、挙句の果てには階段を上ってみてください、なんて人体実験(?)をさせる始末。
つまりそれは……
登山できるかどうかのテストだったのだ!!
まったく、なんという人たちだ。
はたして、この筋肉痛の体で登山などできるのか??
心配御無用。
我々には、強ォ〜い味方がついている。
その名は…
エコツアー・ふくみみ!! |