26・エピローグ
「援農」の前に、ちょこっと海辺まで散歩してみた。 普段海辺に住んでいながら、やはりこういうところに来るとうれしい。 こんな素敵な海岸があるかと思えば大きな山もあり、川が流れて牛も歩く石垣島は、やっぱり広く大きい。 我々のような仕事の観点からすると、水納島に無いものがたくさんたくさんある。 だからといって、うらやましがっていては何も始まらない。 我々が乗る飛行機は 11時半発だった。それに合わせてYさんご夫妻に空港まで送っていただいた。 到着した際は、翌日のマラソンというゲンジツに打ちひしがれそうになっていたからすべてが重かった風景も、晴れて無事完走し終えた今は、窓外に過ぎ行く景色、振り返る日々すべてが輝かしい。 そうだった。 一生に一度はフルマラソン完走を…… うちの奥さんの人生目標のせいで出場する破目になったとはいえ、目標を達成できたヨロコビは出場したからこそ。 あ、そういえば、あれほど懸念していたカカトの痛みは、マラソン中もその後もまったく出ていない。 空港にはふくみみ夫妻もわざわざ見送りにきてくれた。 懐かしさのあまり、空港ロビーにもかかわらず「おさびし山の歌」を歌いだす僕。 ……って、あのぉ、ここ空港なんですけど。 そろそろ保安検査場を通過しなければならない時刻になった。 島Pは今頃小浜島で働いていることだろう。 親しい人がやたらと多いこの石垣島ほど、我々にとって人と会うのが楽しい島は他にない。 といっても、ただただ昔を懐かしがれるだけじゃない。 みなさん、本当にお世話になりました!! なるべくクールに去った………つもりでいたら、のりだーとヒサコさんがすぐ後ろまで来てくれていた。 今度こそ別れを告げた。 うーん、石垣島って楽しいなぁ。 「これを恒例にしよう!」 Yさんはそう言ってくれるし、もとよりマサカッちゃんは来年も走る気満々だし、ふくみみ・おーほりは、「今度はうちののりだーの料理も食べてくださいよ」と言ってくれるし………… ホントに行っちゃうよ!? 本気を出した我々の図々しさがどれほどのものか、まだまだ彼らは知らない。 ちなみに。 「途中歩かずに、文字どおり完走したい」 と言い出している。 彼女に関しては、「次回」がありそうだ。 そこのあなた、パソコンの前に座ってる場合じゃないですよ。 その一歩一歩の積み重ねが、いつかきっと 42.195キロに。 すべてははじめの一歩から。 |