13・ロケ地めぐり・2
再びアントニオ操るタクシーは発進。 「ここがどのシーンだかわかりますか?」 ヒロセさんが挑戦的に問うてくる。 あっ!! 果樹園じゃなくて、このシーンだ!! ゴッドファーザーより 大戦後間もないのでまだ駐屯中だった米軍のジープが通りかかり、先頭を歩くファブリツィオが「アメリカに連れてってくれよ!」とジョークで声を掛けるシーン!! 映画では、沿道にはオリーブが生えているだけにしか見えないのに、今ではすっかりレモン園とオレンジ園に。 木々の様子は変わっているけど、後ろの橋はほぼそのまま! ところで、ここまで僕一人で楽しんでいるかのように誤解されている向きがあるかもしれないので、慌てて書き足しておく。 そんな彼らは、この沿道で実際に間近でたわわに実る巨大なレモンを観ることができて、いたくご満悦だったのである。
そして我が家のゴッドファーザーも、古のロケ地を一人歩くのだった。 ……単なるタバコタイムって話もあるけど。 この小道を後にし、再びタクシーは発進。今度は曲がりくねる坂道を登り始めた。 ここだ!! これは説明の必要がないでしょう。 ゴッドファーザーより コルレオーネ村だ!!(劇中での話) この風景は是非晴天の下で観てみたい……。 まさかこの風景を目の当たりにする日が来るなんて……。 さすがにこれほどの風景だから、今ではこの角度から観られる場所に展望台があって、村を一望するのが容易になっている。 モッタ・カマストラという名のこの村は、もちろん今もなお現役の村。ただしここで暮らすのは容易ではなさそうだ。 酒といえば酔っ払う度合いがハンパではない日本人にはとても住めたものじゃない。 この位置から眺める分には申し分ない美しさを誇る村も、内部に入るときっと苦労だらけで景色どころではないに違いない。 申し訳ないけど我々は観光客なので、呑気に写真を撮らせてもらう。 撮影:オタマサ どうせちゃんと撮ってくれないだろうから、いいよいいよと僕が断っていたら、「せっかくだからだんなも撮ってあげるよぉ!」とうちの奥さんが撮ってくれたのはいいんだけど…… 背景がずれてるっちゅうの!! この展望台からは、撮影に使われたモッタ・カマストラ以外にも、遥かに見晴るかす景色が楽しめた。 山々の上にも、山間の谷間にも、それぞれ村が広がる。 地中海のど真ん中に位置するシチリア島が、地中海世界をめぐる幾多の文明の興亡と無縁でいられるはずはなかった。 その後ローマ帝国の衰退とともにビザンチン文化からアラブ世界の支配へと移ろい変わり、ノルマン人による王国の始まり、スペイン系の王家へ……… …という具合に、紀元前の昔からめまぐるしく移ろい変わる歴史の中で、安穏と低地で暮らしていられた時代はそれほど長くはなかったに違いない。 その他様々かつ複雑な歴史に翻弄されてきたであろう村々。 |