5・木津屋旅館
我々が3日間お世話になる宿は、主計町茶屋街の木津屋旅館。 川沿いに町屋が並ぶ風情豊かな通りにある。
金沢の茶屋街は当時の趣を残す建物が保存されているだけではなく、現在もなおお茶屋さんであったり、町屋を改装した各種飲食店であったり、住宅であったりする現役の町並みで、主計町茶屋街ももちろん、通りにある町屋はすべて「生きて」いる。 だから日が落ちても灯りが絶えることはなく、宿の入り口はこんな感じになり…… 茶屋街はより一層趣を味わい深くする。
そしてその主計町茶屋街を浅野川に架かる橋の上から眺めると……
こういうところに宿があるだなんて知ったらあなた、泊まりたくなるのが人情ってもんでしょう? なので、例によって駅周辺の格安ホテルには目もくれず、まず最初にここ木津屋旅館さんに泊まる、というところから旅行計画をスタートさせた我々である。 とはいえこういうところに建ち並ぶ宿ともなれば、さぞかしエクスペンシブな宿泊料金なのでは……… …という心配は御無用。 逆に言うと、宿の方と一度も電話やメールで直接コンタクトを取ることなく現地まで来ていることになる。 ビジネスホテルなどであればともかく、こういう個人営業の宿を利用するに際しては初めてのケースだったので、はたしてちゃんと予約が通っているのか、妙な緊張もあったりした。 途中道に迷いながらも、思いのほか早い時刻に木津屋旅館さんに到着。 玄関で人を呼ぶと、女将さんが出てきてくださり、ちゃんと我々の到着を予定に入れていただいていたのでホッと一安心。 案内していただいたのは、3階。
案内された部屋は、リバービューだった。
3階だから、窓から外を眺めると…
川が流れている。 写真では角度的に対岸が写ってしまっているけれど、窓辺から直下を見れば、ガス灯もどきも桜の木もある茶屋街の通り。 これ、桜の季節だったら一日中部屋で酒飲んでいられるなぁ……。 木津屋旅館さんはどうやら素泊まり滞在がメインらしく、朝食や夕食をお願いしたい場合は要予約である。 ただ、閑散期ということもあってか、唯一かつ大きな問題が。 女将さんのご案内によると、お風呂は夜の7時半から11時の間限定ということだったのだ。 宿で飲食をするのであればそれでもまぁ特に問題はないところながら、夜は100パーセント外で飲むつもりでいる我々は、その時間に風呂に入れるかどうかは甚だ心もとない。 飲みに行く前にひとっプロ浴びておきたい派のうちの奥さんにとしては、入浴時間はもう少し早い時間にできるに越したことはない。 なので、ダメモトで夕方にお風呂に入れないかどうか問うてみたところ、希望の時刻に沸かしておいてもらえることになった。 とりあえずホッ。 でも。 男女に分かれた浴場は、それぞれ一人で浸かるにはあまりにも大きなお風呂である。 ……と思っていたら。 翌日のこと。
へ? しかも、バス付のお部屋に!! この日まで利用していた部屋は、トイレはついているけれど風呂はない部屋で、料金もそれに応じたお値段だった。 それを、料金はそのままでお風呂までついている部屋にチェンジしてくれているのである。 眺め的にはもちろん3階のほうがいいけれど、こと風呂に関しては、風呂付きにしてもらえれば遠慮なくいついかなる時でも入れるわけだからありがたいし、そもそも部屋のグレード的にはアップするのだから、我々に否やのあろうはずはない。 というわけで、この日移った部屋はここ。 格子越しに部屋を覗くとこんな感じ。
なにやら檻の中の珍獣を眺めているような風情も……。
というわけで、短期間に2つの部屋をつかわせていただくことになってしまい、しかも風呂付の部屋を風呂なしの料金で利用させていただけた。 なにはともあれ、3日間何不自由なく過ごすことができたのは、ひとえに木津屋旅館さんのおかげである。 みなさんも金沢へお越しの際は、是非ご利用くださいませ。 |