11・
1月31日
草原の空港 初めてのナイロビの夜を爆睡で過ごし、快適な目覚めとともに1月31日の朝を迎えた。 早くも胃袋は戦闘態勢を整えている。 今朝は9時にジャクソンがピックアップしに来てくれるので、それまでにチェックアウトを済ませておけばいいだけだった。 そういえば、一昨年アラスカに行ったとき、同じようにピックアップのスタッフをホテルで待っていたのだった。 「He’s late.」 という事実を知ったものだった。 ところが、9時少し前に彼は現れた。 「ジャクソンさん、ノープロブレムっていう意味のあの言葉、なんて言うんでしたっけ??」 そう、昨夜忘れないうちに書き留めておこうと思ったら、すでにその時点ですっかり頭から抜けていたのである。そういう場合にうちの奥さんがいかに役に立たないかということは、みなさんよくご存知のとおり。 笑いつつ、ジャクソンは答えてくれた。 「ハクナマタタ 問題なーい」 先に触れたときにアルファベットで書けたのは、実はこのときにジャクソンに丁寧に教えてもらったからである。って、発音をただローマ字で書くのと同じなんだけどね。 昨日同様運ちゃんウィリアムの運転で、一路空港を目指す。 我々はここナイロビからいよいよマサイマラへと向う。 ウィルソン空港は、小型飛行機の施設ならではの素朴な空港―――つまり水納海運の待合所のような空港―――だった。 セキュリティチェックを通過すればもうそこでジャクソンとはお別れだ。帰りもここを利用することになるものの、そのとき迎えは自分ではないかもしれないとジャクソンがいうので、すっかり世話になった彼に日本を代表する国際的なお菓子を進呈することにした。 ジャクソンと別れ、待合所へ。 待つことしばし、いよいよ飛行機に乗り込む。 この飛行機の45分間のフライトでは、眼下はずっと一望サバンナである。 ファーストストップの空港は、キチュワ・テンボ――「象の頭」という意味――空港であるらしい。 誰もいないときは動物たちが滑走路上に群れなしていることもあるそうで、そういう場合は送迎のために最初に空港に到着した人が、ホイホイホイと追い払うという。 去る人来る人迎える人、草原空港には様々な人がいた。このキチュワテンボ空港は、本来はキチュワテンボというロッジのプライベート空港なのだそうだ。それを付近のロッジが共同で使わせてもらっている、という格好のようである。 というわけで、飛行機から降りたらそこはいきなりアフリカの大地だった。 |