舟宿太平荘の食事は部屋食だ。 風呂に入って浴衣に着替え、今や遅しと臨戦態勢で待機しているところへ、いよいよお夕飯登場!! まずはお造り系である。 なんといってもこのお刺身!! シメ鯖に鰆、白イカと呼んでいたけどきっとアオリイカであろうイカ、それに鯵、そして炙った鯵。 どれもこれも美味しい……。 シメ鯖なんて、今の世の中日本全国どこに居たって食べられるけれど、たいていの場合、「酢でシメてあります」的な色と味。 一方、冬の味覚を代表するカニさん。松葉ガニだ、なんてことになると一気に主役になってしまうところ、あくまでも脇役に甘んじてくれるのがこれ。 このあたりでは「コッペガニ」と呼ばれているセコガニ。 逆にセコガニ=雌なので、当然ながら卵があり、珍味として重宝されている。このお皿にも、ビッシリと卵が(右端)。 どうやら世間では超有名らしいセコガニ。 オスに比べて遥かに小さなボディなれど、ほぐされた身とミソが合わさったお味は酒が進む進む。 そうこうするうちに、焼き物系も登場。 レンコダイと呼ばれる、キダイの塩焼き。 ヒレの辺りがやけに塩が多いなぁと思っていたところ、ヒレの形を綺麗に残すために、塩でコーティングしてあったからではないかと、うちの奥さんが珍しく論理的に推察していた。 美味しかったあらゆる料理のなかでも特にうちの奥さんのお気に召したのがこのレンコダイの塩焼きで、釣りバカ日誌の浜ちゃんもビックリするくらいに綺麗に片付けていた。 たしかに美味しかったからその気持ちもわからないではない。 お次は煮付けがご登場。 カワハギ(の仲間)の煮付け。 そのうえ鍋物も。 そして、この一連の流れにいまひとつそぐわないような感じで突如現れたのが、 「白イカのムニエルです」と仲居さんが紹介してくれたけど、どう見てもソテーに見えるイカの丸焼き。 以上すべて、一人前ですぜ。 というか、オタマサが完食できたのはレンコダイまでで、鍋に至ってはお魚に到達できなかったんだから。 味も量もさることながら、これで酒飲まなくていつ飲むの?ってなくらいの酒の肴オンパレード。 この宿には、オプションとしてブリしゃぶとかカニ料理、ふぐ料理などが選べるようにもなっている。 沖縄に戻ってきた今になって、ブリしゃぶに心惹かれている我々なのだった。 ところでフツーの食材とはいっても、イカとか鯵とか鰆とか、このあたりの海でフツーに獲れるんだろうか? 心もお腹もこれ以上ないほど満たされた夕食を終えた頃、伊根湾の上には十五夜のお月様がポッカリ浮かんでいた。 月明かりに照らされて、淡くホンワリとたたずむ舟屋群。 |