全長 15cm
カワハギの仲間たちには、他にアミメハギやウマヅラハギ(水納島にはいない)という名前もあるからややこしい。
そもそも本家ウマヅラハギは本当に馬面だからいいとして、メガネウマヅラハギもこのアミメウマヅラハギも、馬面というほどの面相ではない。
近い仲間だからというだけでこの名では、本人たちも「理不尽なり!」と思っているかもしれない。
< 思いません。
でもアミメウマヅラハギは、馬面はともかく体の模様はたしかに網目だ。
これだったら他と区別するのは簡単そう。
ただしこの網目模様、こうして見るとわりとクッキリ網目模様だけど、彼らは体色の濃淡を自在に変えるし、海中ではそもそもコントラストがハッキリしないから、離れて見るとひと目で網目だとはわからないことのほうが多い。
そういう場合は、尾ビレ付け根上側にある白い点を目印にするしかない。
体の色が濃くなることがある一方、なぜだか淡くなることもあるアミメウマヅラハギ、その場合は網目はちゃんと見えるものの、淡すぎるとそれはそれで別の魚のようにも見える。
それでもやはり、尾ビレ付け根上側の白い点はある。
これは3月に撮った写真だけど、いったいなにがどうして白っぽくなっているのだろう?
寒かったんだろうか…。
そんなアミメウマヅラハギたちは、リーフ際からリーフ上でフツーに出会うことができる。
リーフ上のサンゴがたくさんあるところが好きなようで、しょっちゅう岩肌をガシガシやって何かを食べている。
ヒトが泳ぎ回れるくらいの範囲を見渡すと、大小合わせてわりとポツポツいるから、みんなで仲良く暮らしている……
…かと思いきや。
暇にまかせて1匹をストーキングしてみたところ、リーフ上でエサをついばみながら泳いでいたその彼は、出会い頭に他の個体に遭遇した。
すると、圧倒的排他攻撃を繰り出すではないか。
いきなり攻撃を仕掛けられたほう(左側)も負けじと体を膨らませ、瞬時に普段見せない体色になったけれど、やはり先制攻撃が有利なのか、電光石火のバトルののち、左の子は興奮色も空しくその場を去っていった。
若魚はともかく、オトナ同士、それもオスどうしとなると、けっして仲がいいわけではないらしい……。
リーフ上では、つかず離れず程よい距離感を保っていることが、平和な暮らしのコツのようだ。