水納島の魚たち

アオノメハタ

全長 40cm

 よく観るとその名のとおりの青い点々が美しいアオノメハタ。

 ときには上の写真のように仲良く2匹でまったりしながら、ホンソメワケベラのクリーニングを受けていることもあるけれど、基本的に警戒心が強い彼らは、たいていの場合こちらが気付いたときにはもう暗がりや物陰に逃げている。

 そのためその輝くブルースポットをじっくり眺める機会があまりなく、遠目には黒っぽいハタにしか見えない。

 リーフの壁沿いのような物陰がたくさんある環境が好きなようで、壁がそのまま深いところまで続くような場所だとわりと深いところでも観られる。

 水納島のたいていの砂地のポイントなら、砂底が始まるまでの、わりと浅いところで観られる。

 リーフ上のかなり浅いところも、彼らの行動圏内だ。

 青い点々が最大の特徴ながら、遠目には体後半部の白い帯模様が目立つ。

 ただし胸周りや体後半部にある白い模様は濃淡を自在に変えることができ、↓このようにクッキリしていることもあれば…

 薄くなっていることもある。

 どちらも同じ時同じ場所で撮った同じ子で、その時その時の気分や状況ですぐさま色を変える。

 警戒心が強いアオノメハタながら、ときにはダイバーのすぐそばで別の姿を見せることもある。

 リーフ際でオヤビッチャの群れを眺めていた時、突如オヤビッチャたちの動きが激しくなったかと思ったら、ビュッと黒い影が視界を横切った。

 影はすかさず物陰に入ったので、なんだったのかたしかめてみると……

 アオノメハタがオヤビッチャをゲットしたのだった(写真は飲み込もうとしているところ)。

 まったりしていることはあっても、彼らもやはりプレデター。

 一瞬の早ワザがキラリと光る。

 そんなアオノメハタは、どこで潜ってもフツーに観られる……と思っていた。

 少なくとも、オヤビッチャをゲットしたシーンや2匹仲良くホンソメクリーニングを受けているのを目にした2017年シーズンまでは。

 ところが今般アオノメハタに注目してみるにあたり、ふと2018年シーズンをふりかえってみたところ……

 はて、よく行く砂地のポイントのリーフ際で、アオノメハタを目にした記憶がほとんどない。

 そこでこの冬(2019年1月〜)、アオノメハタチェックを何カ所かでしてみたところ、なんてことだ、かつてはあれほどちょくちょく出会えたアオノメハタなのに、各ポイントでかろうじて1匹若い個体に出会えるか出会えないか、しかも警戒心は特大級に強い。

 冒頭のシーンなんて、もはや望むべくもない。

 アオノメハタ、どこ行っちゃったんだろう?

 追記(2019年9月)

 今シーズン(2019年)も終盤を迎えた今振り返ってみると、各ポイントのあちこちでアオノメハタに会うことができた。

 なんだ、今もフツーにいるんじゃん、アオノメハタ。

 冬場と夏場で彼らの暮らしの場が異なっているんだろうか?

 来冬も少し気にしてチェックしてみようっと。

 以上、追記終わり。

 いったいどこに?といえば、アオノメハタの幼魚だ。

 そういえば、アオノメハタの幼魚なんて、観たことがない。

 どんな姿をしているんだろう?

 さっそくネットで調べてみたら、これがまた可愛いのなんの。

 特に頬(?)のあたりに青点が出始めているチビターレときたら、スター性抜群だ。

 これは是非とも観てみたい!

 しかしネット上のフィールド写真のほとんどは、伊豆方面で撮影されたものだった。

 伊豆には季節来遊漁でフラフラと彷徨いこんでいるとしても、アオノメハタがフツーに生息している沖縄では、彼らはどこで幼魚時代を過ごしているのだろうか。

 さらに調べてみると、どうやらかなり浅いところにいるらしい。

 浅いといってもリーフ上とかそういった通常のファンダイビング環境じゃなくて、潮溜まり程度のホントに浅い場所のようなのだ。

 初夏のカモメ岩あたりが狙い目かな?