全長 50cm(写真は20cmほどの若魚)
ギンガメアジといえば、トルネード。
とてつもない大群がグルグルと渦を巻いて群れる様がまるで竜巻のよう…ということで、トルネードと呼ばれている。
そんなギンガメトルネードが観られるとなると、そこは屈指のダイビングスポットになる。
沖縄県内では粟国島が有名で、ギンガメトルネードのために那覇から何時間もかけてダイビングボートに揺られ、遠征するツアーもあるそうな。
粟国島で観られるようなトルネードではなかったけれど、その昔訪れたモルディブはヴィラメンドゥのハウスリーフでも、ダイビングボートを係留しているような場所でオトナがたくさん群れていたのを観たことがある。
これくらいの群れでも「おおッ…」と思ったくらいだもの、それがトルネード級ともなれば、わざわざ2時間以上ボートに揺られて現地を訪れようとする気持ちもよくわかる。
そんなギンガメアジが、水納島にもいる!!
…と言ってしまうと、ギンガメアジ=「トルネード」な方からJAROに訴えられてしまうかもしれないので慌てて但し書きを加えると、20cm前後の若いギンガメアジが10匹くらいいる程度です、ハイ。
潮通しのいい海で巨群を作るオトナたちとは違い、若魚の頃のギンガメアジたちは浅いところで暮らしているようで、かつて渡久地港内の透明度30cmほどの海中で潜水作業をしていた際、目の前をミニミニギンガメアジたちが10匹くらい通り過ぎていった。
そんな劣悪な環境(?)にもいるくらいだから、水納島の桟橋脇から海水浴場にかけての浅いところにも若魚が居つくことがある。
桟橋がいい避難場所になるのか、桟橋脇の浅い波打ち際あたりを、コバンアジと一緒になって泳いでいることもある。
ギンガメアジが居つくのは、桟橋がちょうどいい避難場所であることのほかに、エサが豊富ということも大きいかもしれない。
10匹そこそこでは到底食べ尽くせないほどのミジュンの巨群が居ついているのだもの、ギンガメアジヤングスがこれを逃す手はない。
ギンガメアジの若衆たちにとっては、毎日朝から食べ放題飲み放題プランが用意されているようなものなのだろう。
↑この時もギンガメ若衆たちは、午前中から気の向くままにミジュンに襲い掛かっていた。
年によっては…というか、もうここ15年ほどは観られなくなったけれど、ときには若魚たちが30匹ほどの群れになっていることもあった(冒頭の写真)。
若魚とはいえ海水浴場エリアで見られるギンガメアジだなんて、それはそれでゼータクなシーンではある。
彼らがこのままスクスク育ち、やがてオトナになってリーフの外へと暮らしの場を移していけば、やがて水納島にもギンガメトルネードが……
しかし今年(2020年)に至るまでの過去26シーズンで、ギンガメアジのオトナとはただの1度も、ただの1匹とも、水納島で出会ったことがない。
なにしろ若いギンガメアジたちは、オトナになる前にたいがい釣られちゃうんだものなぁ…。
水納島の桟橋は、なにげに釣りのメッカでもあるのだ。
なかなか会えないといえば、激チビも同様だ。
5cmを超えると若魚の姿になってくるギンガメアジ、ではそれ以前はどのような姿をしているのだろう?
とはいえこのテの魚のチビチビといえば、漂流物に身を寄せながら外洋で過ごしていることが多いはずだから、おいそれとは出会えないのだろうなぁ…
…と思っていたら、2007年にオタマサがなにげなく撮っていた謎のチビが、実はギンガメアジのチビらしい。
このチビターレは、ダイビングポイント用の水中ブイについていた。
長年海中にあるブイには海藻やサンゴなど各種付着生物がついているから、食料事情もそれなりによかったのかもしれない。
※追記(2021年11月)
2020年の9月には、さらに小さなチビターレに会うことができた。
ボートをポイントに停めるためのブイのロープの波立つ水面付近で、上下左右に揺れまくりながら懸命に寄り添っていたチビターレ。
ロープの太さは3cmくらいだから、このチビターレが相当小さいことがわかる。
もともとこのロープを拠り所にしていたのであれば、位置がある程度安定している水中ブイに寄り添いそうなところ。
定位置を確保するだけでも慌ただしいこのような水面付近にいるってことは、うちのボートを停めている間に、流れ藻などの頼りない拠り所からサッと移動してきたのだろうか。
でもギンガメチビターレ君、ゲストのみなさんがエキジットすれば、ボートはロープを放してこの場を去るから、現在拠り所のロープも下に沈んで行っちゃうよ?
そのジジツを知った彼は、ショックでしばらくそのまま固まっていたのだった(一部脚色アリ)。