全長 4cm
岩陰や刺の長いウニのまわりで、クネクネクネクネ泳いでいるハシナガウバウオ。
ウバウオといえば総じて顔が丸っこいのかと思いきや、この魚はその名のとおり吻端が長く伸びている。
その先っちょでチョボッと開く程度のおちょぼ口だ。
この吻端の長さが雌雄で異なり、メスはオスに比べると随分短いそうな。
98年の白化以前は、一つのガンガゼ類に何匹も揃ってクネクネしているのをよく見かけた。
ところがその後は1匹でさえ見かけることすら少なく、いてもせいぜい1、2匹程度だ。
サンゴに依存しているとは思えないし、実際近年のようにサンゴが随分復活しても、当時のようにハシナガウバウオをたくさん見る機会はない。
それにしても彼らのクネクネ泳ぎ、いったい彼にとってどんなメリットがあるというのだろうか。
ジッとしているよりも明らかに目立つし、体力的にもつらかろうに。
こういう話になると、人間はついつい意味を考えてしまいがちだけど、実は彼のクネクネには特に意味などあるわけではなく、ただただクネクネしていると楽しいからそうやっているのかもしれない。
そう思って見てみると、なるほど、クネクネクネクネ……際限もなく泳ぐ姿は、実に楽しそうに見えてくるのだった。
※追記(2024年1月)
一昨年のことながら、最終便が出たあと人影が無くなった桟橋脇を潜ることにしたオタマサ。
梅雨中休みにもかかわらずコロナ禍のためにビーチは閑散としており、コロナ禍中につ早めに設定されていた最終便が出た後は、まだ日が高いにもかかわらずヒトッコヒトリーヌだったのだ。
桟橋脇といえば日常的にボートを停めているところながら、普段のボートダイビングではなかなかお目にかかれないマニアックに魅惑的な魚に出会う機会が多い。
このときも、桟橋脇の物陰に潜んでいたガンガゼに、ハシナガウバウオのチビターレの姿が。
オタマサによると、15oに満たないほどの激チビだそうだ。
本文でも述べているように、リーフの外にガンガゼが多数観られたその昔はハシナガウバウオを見かける機会も多かったけれど、こんなに小さい激チビターレには会ったことがない。
激チビ初記録のおかげで、ハシナガウバウオといいつつ、チビターレの口はそれほど長くないことが判明した。
ちなみにこの時は同じガンガゼにヒバシヨウジも潜んでいて、ありそでなさそなハシナガウバウオとヒバシヨウジのツーショット。
15mmのハシナガウバウオチビターレと比してこのサイズだから、ヒバシヨウジもまた激チビターレなのだった。