全長 12cm
ヒトスジイシモチと同属のカスリイシモチは、若い頃にはヒトスジイシモチのような「一筋」がある。
オトナになるとこのわりと特徴的な模様が消えてしまい、なおかつひたすら地味になる。
10cmを超える大きな種類だから、リュウキュウヤライイシモチのようにドンと存在感がありそうなものだけど、彼らは暗がりが大好きなため、ライトを当てながら覗き見なければその存在に気づけないかもしれないくらい、奥の方に潜んでいる。
とはいってもそれほどサーチするのが難儀な場所でもなんでもなく、リーフエッジのオーバーハングの下あたりの壁に穿たれた暗い個室で、ひっそりとたたずんでいることが多い。
ところが桟橋脇くらいのごくごく浅いところでは、明るい表舞台に出ていた。
そのほか、サンゴの枝間でチョロチョロしているのを観たこともある。
カスリイシモチがサンゴの枝間にいるところを観たのは、後にも先にもこの時かぎりではある。
場所が変わると性格も変わるのだろうか?
暗がりであれ明るいところであれ、たいてい1人っきりで暮らしているカスリイシモチ。
背ビレの縁だけなぜだか黄色いとはいっても、基本的に超地味、そのうえもっぱら暗がりにいるとなっては、まっとうなダイバーのみなさんが相手にするような魚ではないといっていい。
もっとも、夜になれば体色をナイトモードに変え、とりあえず外に出てくるようだ。
夜だからといって動き回るわけではないらしく、あくまでもジッとしているという話だから、むしろ夜のほうが出会うチャンスは多いのかもしれない。