水納島の魚たち

コベンケイハゼ

3cm(写真は15mmほど)

 その年撮った写真を振り返って、お互い各ジャンルごとに5枚ずつ写真をピックアップしようという、我が家の年末恒例行事(?)がある。

 2019年の年末もその年撮った写真を振り返り、レア度の高そうなものをお互い5種類ずつ選んだところ、オタマサがおもむろに選択したもののひとつがこのハゼだった。

 その年の6月に撮ったものだという。

 一見してかつて撮ったことが無い類のハゼだとわかる写真をそれなりにちゃんと撮っておきながら、半年以上秘蔵しているあたりがオタマサのオタマサたる所以。

 年末に振り返らなければ、日の目を見る機会は永遠になかったかもしれない。

 さてこのハゼ、ベンケイハゼが属しているイレズミハゼ属の誰かだということはわかったものの、この写真の前後に別カットはなく、冒頭の写真が唯一無二のもので、しかも若魚っぽいこの個体以外に手掛かりがないために、当時は結局正体不明で終わってしまった。

 その後引き続き調べてみたところ、どうやらコベンケイハゼの若い頃ではなかろうか、というところに落ち着いた。

 撮影日と潜水ポイントは確認可能ながら、あいにく撮った本人にまったく当時の記憶がないために、深いところにいたのか浅いところにいたのか、暗いところにいたのか石の下にいたのか最初からチョコンと何かに乗っていたのか、残念ながらまったく不明だ。

 ひところマイブームで浅場の石をめくっていた頃に、石の下でチョコチョコ見かけたハゼに似ている気もする。

 めくった石の下にたとえいたとしても、すぐにピュッと逃げてどこかに消えてしまうから、常に一瞬の付き合いでしかなく、正体を確かめるすべはなかった。

 この写真を撮った当時のオタマサはもう石をめくったりしなくなっている頃だから、いったいこのハゼがどこにいたのか、謎が謎を呼ぶ…。

 …って、そもそもコベンケイハゼで合っているんだろうか?