全長 50cm
ルリスズメダイ、ムラサメモンガラといったビーチでおなじみの魚たちは、リーフの中にしかいないから、水納島の場合、ボートダイビングオンリーでいると出会う機会がほとんどない。
このクモウツボもそんな魚だ。
インリーフであれば、素潜りしていてもタンクを背負って潜っていても、けっこう目にする機会は多いのに、リーフの外だと、ごく稀に浅いガレ場に紛れ込んでいるのを見かけるくらいでしかない。
そういう意味では、ダイバーよりもむしろ海水浴客にお馴染みのウツボかもしれない。
50cmほどと小柄で、なおかつ他のウツボたちに比べて模様は美しく、なかなかスター性がある。
これで名前さえカッコよければ、彼の人生も違ったものになっていたことだろう。
なんでクモなんだろう……?
模様が蜘蛛の巣状だからか?と思いきや、クモはクモでも雲のほうらしい。
それにしてもなぁ……。
この雲模様(?)には個体差があって、濃い目になっている子もいる。
模様の濃淡にかかわらず特徴的なのは、鼻管と黒目の周りがキレンジャーなところ。
その部分が黄色いウツボは他に観られないから、ビミョーなキレンジャーぶりをじっくり観たいところではあるけれど、かなりシャイなのですぐに引っ込んでしまうことが多い。
ただし中には強気な子もいて、どういうわけだか惜しげもなくボディをお日様の下にさらしてくれている子がいた。
そこまで出してくれなくてもいいんですけど…というほどに。
※追記(2020年12月)
今年(2020年)の夏にターボスネイル生息密度調査をリーフの上の浅いところで行っていた時、ほぼ全身を露わにしているクモウツボに出会えた。
ウツボ類では特徴的な模様は顔周辺だけ、という種類もけっこういるのだけれど、クモウツボの場合は全身ほぼ同一パターンで彩られているようだ。
※追記(2023年11月)
昨年(2022年)のことながら、クモウツボが秘めたるスター性は色柄だけではないことがわかった。
クモウツボもサビウツボと似たような食性なのか、砂中のアヤシイ動きに反応するようで…
…ウツボ使い棒(指示棒ともいう)で遊べることが判明。
どちらかというと考えるタイプらしく、ウツボ使いの棒が眼前から消えた後、
「今のはいったいなんだったのだろう…?」
と、先ほどまで動いていた小石のチェックまでしながら首を捻っているところなど、けっこう可愛げがある…
…というのは贔屓目でしょうか?