全長 4cm
なにを隠そう、この魚を知ったのは、フィリピンに行ったときのこと(97年)だった。
すでに沖縄や伊豆で見られる魚ならある程度知っているつもりでいたので、フィリピンなどの海外に行けば、日本では見られない魚についつい目が行く。
そんな目で潜っているときに発見したのがこのスズメダイだ。
サンゴの枝間で何匹もチラホラしている。
エレガントなフォルムといい、目元のエキゾチックなブルーのラインといい、さすがフィリピン、スズメダイも妖しく美しい。
これは日本じゃ見られない!
そう確信したワタシは、当時銀塩写真だったカメラのシャッターを何枚切ったことか……。
しかし。
帰国後に図鑑「日本の海水魚」を見てみると、このスズメダイが普通に載っているではないか。
しっかり和名まである。
しかも、日本でさえ特に珍しいともなんとも触れられることなく…。
えー、こんなの観たことなかったのに……。
…と思っていたら、水納島でもこの魚に出会うことができた。
ホントに日本にもいたのだ。
とはいえ、2008年に初めて出会って以後も年に1個体観るか観ないかくらいの頻度だから、少なくとも水納島ではかなりのレアものだ。
岩場のポイントの、地味なサンゴの枝間から出たり入ったりしている姿を見つければ、フィリピンで初めて出会った時のヨロコビが甦る。
せっかく出会えているのに、遠目にイシガキスズメダイと思い込んでスルーしてしまわないよう、くれぐれもご注意を。
※追記(2022年12月)
その後もコンスタントに毎年1匹2匹とは出会えているクロオビスズメダイ、今年(2022年)は人生最小記録を更新した。
上の写真は無理矢理トリミングしたもので、元の写真は↓こんな感じ。
1cmほどの激チビターレだ。
しばらくここに居続けてくれれば、成長の様子を追うこともできたろうに、残念ながらこのチビは、1週間で姿を消してしまった。
まだまだクロオビスズメダイが何不自由なく暮らせるまでには至っていないようだ。