水納島の魚たち

マダラエイ

全長 200cm

 形はヤッコエイに似ているものの、このマダラエイ、とにかくでかい。

 ただし日中出会うマダラエイは、ヤッコエイのように砂底で活発に活動していることはほとんどなく、狭い岩陰に隠れ潜んでいることが多い。

 そのため出会いは、何気なく岩陰を覗いてみたらそこにいた、というケースが多く、しかも狭いスペースに無理矢理体を押し込んでいるから、全身を拝ませてもらえないこともしばしばだ。

 マダラエイが入り込んでいる場所によっては、しっかり全身を観ることができることもある。

 ただしあまりしつこく覗いていると、マダラエイは嫌がってクルリと向きを変えてしまう。

 本当にイヤになるとその場を離れ、悠然と泳ぎ去っていく。

 ただし、本気を出せばダッシュもできるマダラエイながら、泳ぎ去るときはわりとゆったりしており、場合によってはランデブーさせてくれることもある。

 リーフエッジの岩陰といった、思いがけなく浅いところに潜んでいることもわりとあるマダラエイながら、随分深い岩場のポイントの、水深30mほどの棚から覗いた遥か下を、悠然とマダラエイが泳いでいたこともある。

 砂地のポイントでも、稀に根のそばでゴキゲンそうにのんびり泳いでいることもあれば(2匹でデートしていたこともある)、ヤッコエイのように砂を被って身を潜めていることもあった。

 このときゲストのTさんは随分近くから激写することができたものの、やがてマダラエイのサービスタイムは終了したのか、砂煙を上げてその場を離れてしまった。

 場所は異なる写真ながら、マダラエイが休憩をやめてゆっくり泳ぎ去るときは、海底から1mほど上に浮いている。

 画像じゃわからないけれど、マダラエイは左右のヒレを交互に波打たせるように泳ぐ。

 左右同時に上下させている(ように見える)ヤッコエイの泳ぎ方を見慣れていることもあって、マダラエイの泳ぎ方はなにやら宇宙生物的に見えて面白い。

 こんなにでっかくなるまでに食べる底生生物の量って、いったいどれくらいになるんだろう??

 ところで、一昔前に世に出回っていたお魚図鑑のマダラエイの稿では、

 「攻撃的な性格」

 と説明されていたマダラエイも、近年の解説では「攻撃的ではない」と改められている。

 まぁエイですから。

 とタカをくくってはいても、けっこう深いところで正面からこちらに向かってこられると、いささかたじろぐこともある。

 マダラエイはヤッコエイ同様尾ビレに毒針を装備しており、興奮状態になると尾を持ち上げ、背を折り曲げて毒針で刺そうとしてくるらしく、刺されたヒトが死亡したというケースもあるそうだ。

 もっともそういう事例は極めて極めて極めて稀なことのはずで、そのヒトはいったいマダラエイに何をしようとしたんだろう?

 調べてみると、どうやらその方はマダラエイに跨ろうとしたらしい…。

 これまで何度もマダラエイと出会っているワタシは、本当に「攻撃」されたことは一度もないことを、マダラエイの名誉のために付記しておく。