全長 25cm(写真の個体)
オタマサが撮る写真には、本人ですら忘却の彼方に吹き飛ばしながら、誰も目にすることがないまま私蔵されているものが多い。
なのでたまにワタシがオタマサ撮影の過去写真を探訪してみると、思いもよらない「発見」がある。
この魚もそのひとつ。
画像ファイルデータによると2010年10月の撮影のようで、写っている環境的にどうやらビーチでのことらしい(本人にもボヤヤヤ〜ンと記憶あり)。
どう見てもコチの仲間なのは間違いないこのフォルム、真っ先に目を引くのはその尾ビレだ。
黄色い尾ビレのコチなんて!
…とビックリしていろいろ調べてみたところ、どうやら太公望業界ではミナミマゴチと通称されている、マゴチに近縁のコチ属の1種のようだ。
画像検索するとそのほとんどが「釣果」で、沿岸釣りではかなり名を馳せている魚らしい。
誇らしげに撮られている「釣果」はメーター級の大物ばかりで、相当でっかくなる種類のようだ。
オタマサが出会ったこの個体は、海底の砂粒に比してみてもせいぜい25cmくらいと思われる。
これがメーターサイズだったらさすがのオタマサもオタマサ化して即刻教えてくれたところだったろうけれど、あいにく中途半端サイズのせいで以後10年間誰も知らない暗闇で私蔵されることとなったのだった。
でも黄色い尾ビレのコチなんてていったら、色めき立つよなぁ、フツー……。
もっとも、最初からこのように全身を露わにしていたわけではなく、砂中でジッと息をひそめていたそうだ。
ここから身の危険を感じて、パッと黄色い尾ビレを見せるというのは、ヒメオニオコゼなどのオコゼ類のワザに相通じる効果がありそうではある。
しかし残念ながら多くの釣り師相手にはそのヒレの効果は微塵も発揮することはできず、ルアーなどに引き寄せられてあっという間に釣り上げられてしまうミナミマゴチ(通称)なのだった。