全長 40cm
ナガテングハギモドキを目にするものは少ない。
彼らが暮らしている水深は、ダイバーがフツーに訪れる領域よりも、もっと深いところだからだ。
そのため、フツーの魚ならネット上で画像検索すれば星の数ほど出てくる水中写真も、ナガテングハギモドキとなると数えるほどしかない。
かの魚類検索データベースに登録されているナガテングハギモドキの写真ですら、たったの7枚でしかない。
そんな尋常ではないナガテングハギモドキが、どういうわけかオタマサの目の前に群れで現れたらしい。
まだフィルムで写真を撮っていた頃のことで、記録として残っていたフィルムはたったの1枚。
そしてそのフィルムマウントには、「テングハギモドキ」と記されていたのだった……。
今回こうして過去の写真をふりかえることがなければ、撮影者本人ですら知らないまま闇に消えていたかもしれない、ナガテングハギモドキとの邂逅の記憶。
たとえ撮影者はまったく認識していなかったにせよ、この写真は、千載一遇のチャンスを捉えた貴重な記録なのである。
※追記(2025年2月)
「千載一遇のチャンス」は、実はその後も幾度か訪れていたようだ。
というのも、たまに足をのばす中の瀬の水深30mにある崖のその沖に、時々細長いニザダイ系の群れをときおり見掛けていたのだ。
でもいかんせん遠くで群れているものだから、正体が気になりはしても、間近でその姿を拝む機会がなかなかなかった。
ところが昨年(2024年)7月のこと、しばらくぶりに中の瀬を訪ねた際に、その細長いニザダイ系の群れがかなり近づいてきてくれた。
これはナガテングハギモドキ!
無理矢理アップ。
やっぱナガテングハギモドキだったんだ、ここの群れ。
たいていテングハギモドキの仲間っぽく沖合の中層を悠然と泳いでいるものが、この時はけっこう岩礁よりに集まってくれていたので、その正体が判明したのだった。
シルエットだけ見ても、テングハギモドキに比べて細長いことがわかるでしょ?
普段は沖合で群れているとはいえときおり見掛けていたナガテングハギモドキ、実は千載一遇ではなく千載百遇くらいだったらしい…。