全長 8cm(写真は2cmほどの幼魚)
水深25mほどの根の周りを何かおらぬかと物色していると、見慣れているような見慣れていないような、微妙なスズメダイの幼魚がいた。
そのサイズ、2cmほど。
パッと見はキホシスズメダイの幼魚のように見えるんだけど、どこにいようとオトナも子供も群れ集うキホシスズメダイが、1匹でいるってのもアヤシイ。
こういうやや深い場所でロンリーなスズメダイやハナダイとくれば、それはたいていレアなものと相場は決まっている。
でもキホシそっくりなんだよなぁ……。
とりあえず写真撮っとこ。
それが冒頭の写真。
光が当たった写真で見ると黄色が目立つから、キホシとは明らかに異なる。
後刻図鑑で調べてみたら、このスズメダイは「キホシスズメダイと混同されている未記載種」ということで、スズメダイ属の1種という扱いになっているスズメダイ幼魚であることがわかった。
そうだよなぁ、キホシではないと思ったんだよなぁ。
図鑑によると、いるところではオトナが群れ泳いでいるらしい。
しかし水納島では、これまでのところ成魚を認識したことはない。
というか仮にいたとしても、そうと気づいていないだけかもしれないけど。
2018年になって、この魚にようやく和名が付けられた。
その名もナノハナスズメダイ。
なんとも可愛らしい名前だ。
近年は未知のスズメダイに次々に和名が付けられているのだけれど、菜の花だとか向日葵だとか蒲公英といったやけに和風メルヘンな名前が多いと思っていたら、新和名提唱者は全部同じ研究者によるものだった…。
さて、それから2ヶ月経った頃、違う場所で、こういう魚を見つけた。
これまたこれまで観たことがないスズメダイ。
水深15mほどの砂地の根に複数匹いて、同世代くらいのキホシスズメダイ(一番下)と一緒になっていた。
これははたして、ナノハナスズメダイの成長段階の魚なのか、それともこの1年3ヶ月後に初遭遇したマツバスズメダイの若い頃なのか。
というか、そもそもマツバスズメダイだとワタシが思っているスズメダイは、本当にマツバスズメダイなんだろうか?
いずれにしても水納島では、ナノハナスズメダイのチビにはその後1度だけしか出会っていないから、今後もし遭遇チャンスがあったなら、それが千載一遇であることは間違いない。