全長 6cm
初めて海中で認識した時にはレアものだと思って小躍りしたのだけれど、実はどこで潜ってもフツーにたくさんいたオナガスズメダイ。
たくさんいるというのに、95年に水納島に越してきてから10年以上経った2008年になってようやくその存在に気がついたのだから、我ながら節穴にもほどがある。
まったくノーマークだったため、たとえ目に入っていたとしても、脳まで到達していなかったらしい…。
オナガスズメダイは、よく似ているシコクスズメダイのように群れているわけではなく、すぐに岩陰に隠れられるような場所にいる。
そのため、勝手に目に飛び込んでくることはないけれど、数は多いから見つけるのは容易だ。
物陰に隠れながらチラチラと姿を見せるチビチビがまたカワイイ。
これからもう少し成長すると、各ヒレを縁取るブルーのラインがハッキリしてくる。
ところで、数多いスズメダイ類の中でもこの仲間たちは尾ビレが長く、さらにその上下端がそれぞれ二股に分かれて伸びている。
各種ともそういう特徴なのに、なにゆえこのオナガスズメダイだけ特別に「尾長」なんだろう?
たしかに長いけど……。
もっとも、縄張りを主張するタイプだから、争い合った結果なのか、この尾ビレの上下端のどちらか、もしくはどちらも欠損していることも多い。
クラシカルアイだと肉眼でもファインダーを覗いていても確認できなかったりするから、せっかく時間を費やして撮ってみれば、すべて尾ビレの先が無い写真ばかりだった、ということもある。
これなど、尾ビレの上端はサンゴの枝に隠れ、下端は欠損しているという、ある意味神がかり的に残念な写真。
オナガスズメダイもまた、婚姻色になっているときは相当特徴的で、メスを誘っている時など、シコクスズメダイどころではなく目の色を変えている。
これがオナガスズメダイのやる気モード。
この目をしている時の動きは、メス以外のモノに対する際には限りなく排他的で、そのためやたらと活発だ。
繁殖期の間はそうやってずっと激しく他の魚とやりあうからだろう、体のあちこちが傷だらけになっているオスが多い。
魚たちにとって繁殖行動とは、怪我することも厭わないほどに大事なことなのだ。