全長 7cm
カサゴの仲間たちもまた種類が多い。
そして、分類のプロでさえ写真を見ただけでは区別不可能なくらいによく似ているものが、カサゴの仲間にはけっこういる。
そんなモノに我々シロウトがウカツに手をつけたら、深みにハマって大変なことになる。
冒頭の写真のカサゴも、4年前(2019年)の師走にビーチで潜っている際に撮ったモノながら、正体不明のため長らくお蔵入りしていたもの。
ところが世の中すっかり便利になっていて、グーグル先生に縋ってみたところ、一発回答してくれた…
…と思いきや、このカサゴについてはアカデミズム変態社会でもたいそう混乱していたらしく、いきなり深みにハマってしまった。
というのも、サンゴカサゴのグループには、グアムカサゴという、どこで見分けるんだかまったくわからないくらいに瓜二つな種類もラインナップされていたのだ。
どこで見分けるのかというよりも、ホントに違いがあるのか?という抜本的な疑問を解決すべく、近年ようやく両者のDNAが解析された結果、両者の間には差異がまったく無かったことがわかったとか。
そうか、じゃあサンゴカサゴとグアムカサゴは同種ってことで、どっちもサンゴカサゴの学名Scorpaenodes scaberということでいいんだね!
ああ、スッキリ……
…したと思ったのも束の間、そのS. scaberなる学名に該当するカサゴはオーストラリア固有種で日本には分布しておらず、サンゴカサゴとはまったく別の魚という新たなジジツがここにきて判明してしまったという。
そんなグチョグチョに入り組んだ迷宮のようにフクザツな魚を、盆百のシロウトであるワタシごときが何をどう言おうとなんの説得力もない。
とはいえとにもかくにも和名はサンゴカサゴってことでいいんじゃね?というところに落ち着いているようなので、この稿でもそれに倣い、サンゴカサゴということに決定。
で、写真のサンゴカサゴは、桟橋の先っちょのほうでコンクリートがえぐれ、オーバーハング状態になっている狭く暗い部分の天井に、ピト…とはりついていた。
冒頭の写真は実際の天地を引っくり返しているもので、ホントはこういう感じ。
そばにいるレモンスズメダイ(右隅)と比して、10cmには満たないくらいのサイズと思われる。
水深2mほど、しかもこんな狭い暗がりにいるカサゴにこれまで会ったことがなかったのも無理はない。
でもその場で「観たことないかも…」と気づくことはできたので、狭い穴蔵にコンデジを向けてパシャッと1枚だけ撮っておいたのだった。
探せばほかにいくらでもいるカサゴのような気もするものの、彼らが好んでいそうな場所を潜る機会はそうそうないから、ヘタしたら一生に一度級のチャンスだったかもしれない。
ああ、もっと執着してちゃんと撮っておけばよかった…。