1cm
夏の初め(2022年)に砂地の根の傍らに佇んでいた際、ふと目をやったところにたまたまいたのが、冒頭の写真の小さなハゼだ。
「たまたま」という偶然でもないかぎり、クラシカルアイではサーチしても見つけられない自信があるほど小さい。
フムフム、スジシマイソハゼの小さな子かな…
…てくらいの軽い気持ちで1枚撮ると、警戒して身を引いたのか、尾ビレの先を小さな穴の中に隠してしまった。
巣穴のようだ。
そのあと数枚撮っていたら、シュッと姿を消してしまった。
後刻写真をPC画面で見てみると、どうもスジシマイソハゼとは違って見えるし、シマイソハゼでもなさそうだ。
はて、いったい誰だったのだろう?
…という疑問は、撮影後3ヵ月経ってようやく解決した。
どうやらこのチビハゼは、「新版・日本のハゼ」にて「シマイソハゼ属の1種-3」として掲載されている、Trimmatom nanusと思われる。
そのうち和名がつくことになるんだろうけど、たとえめでたく和名がついたとしても、なにぶんあまりに小さなハゼなので(これがオトナサイズかどうかは不明)、はたして再会できるかどうか…
…と思ったところでフト気がついた。
スジシマイソハゼの稿で紹介している↓これらのチビターレは、ひょっとしてこのシマイソハゼ属の1種なのではありますまいか?
ご丁寧にも「体後半部に透明感がある」と、「シマイソハゼ属の1種-3」の特徴を述べておきながら、当時はまったく気がついていなかった。
それもそのはず、旧版の「日本のハゼ」では、「シマイソハゼ属の1種-1」として紹介されているスジシマイソハゼの稿に、この「シマイソハゼ属の1種-3」の写真も同種として載っている。
一方新版では、別種とされて別枠で掲載されているものの、新版刊行に際して新たに加わった他の多くのハゼたちと一緒に巻末にまとめられているために、ワタシはまったくそのページの存在に気づいていなかったのだった。
というわけでここでシマイソハゼ属の1種を追加するにあたり、スジシマイソハゼの稿からチビターレの写真をデリートしておきます…。