全長 40cm(大きくなると1mに達するらしい)
シロクラベラはイラ属のベラで、シチセンベラやクラカケベラと同じグループに属する。
でも沖縄県内ではシロクラベラという和名よりも、「マクブ」という方言名が圧倒的に有名だ。
なにしろアカジン、アカマチとともに並び称される沖縄県三大高級刺身魚だから、多くの釣り人たちの憧れの的でもある。
高級だけあって本部町のサンエーやかねひでの鮮魚コーナーではまず目にすることはなく、おもろまちのりうぼうあたりまで足をのばさなければ「購入」は難しい。
おもろまちまで出向く機会があって、ちょっとばかしゼータクでもしてみようという時には財布の紐が緩むので…
…ごくごくたまに食す機会はある。
なるほど、高級刺身魚だけに、たしかに美味しい(でもアカジンのほうが好きだけど)。
そんな高級魚シロクラベラは、水納島の海でも出会える。
ただしオトナは深いところが好きらしく、なおかつ個体数もそれほど多くないから、遭遇機会はそれほど多くはなく、それが砂底環境の場合は一望砂底にポツンといることが多い。
おまけにシロクラベラはわりと警戒心が高いため、こんな状況で接近するのは至難のワザ…というか無理。
ところが、その昔の水納島の岩場のポイントでは、水深30mを超えたあたりでよく見かけるシロクラベラがいて、50cm超ほどの巨体がグングンまっしぐらに近づいて来るものだから、暗い海底では大きな砲弾のように見えたものだった。
驚いたことにシロクラベラの場合は50cmクラスでもまだまだ青二才らしく、成長すると1m級になるという。
この深さで振り返った時にそんなデカいのがいたら、相当ビックリするかも…。
あいにく水納島の砂底環境で観られるものはせいぜい40cmほどで、メーター級のビッグサイズには出会えない。
砂底環境でももっと深いところに行けば大きいのがいるかもしれないけれど、水深30mまでくらいではこれくらいのものが砂底でエサを探しているのを見かけるのがせいぜいだ。
ごくごく稀に、冒頭の写真のようにホンソメクリーニングステーションに立ち寄り、クリーニングを受けていることもあるし、行くところに行けばもっと多くいるのかもしれないとはいえ、幼魚時代はもっぱら内湾の浅い環境で過ごすというシロクラベラのこと、そういった環境が次々に失われてしまっている本島西海岸では、シロクラベラチビターレたちの揺りかごも相当減っているに違いない。
となれば、今現在いるオトナたちがいなくなってしまうと、次世代の補給はおぼつかなくなるかも。
今も岩場の深〜いところまで行けば、砲弾クラスが悠然と泳いでいるのだろうか。