全長 4cm
セボシウミタケハゼ同様、このハゼもホントにスケロクウミタケハゼなのかどうか、確信を持てないままでいるのだけれど、かといって他に該当者は見当たらず、図鑑で観られるうちのどれかとなると、やはりスケロクウミタケハゼということになる。
水納島ではセボシウミタケハゼとは違い、おいそれと出会える種類ではなく、セボシウミタケハゼの項で紹介している、とある砂地のポイントの水深30m超あたりから広がるトサカ群落で出会えることがあった程度だ。
過去形なのは、その群落がすっかり姿を消してしまったからで、今となってはスケロクウミタケハゼを探そうにもそもそも彼らのおうちが無い。
ちなみに群落を形成していたトサカ類の丈はせいぜい40cmほどとさほど大きくはなく、ハゼたちはそのトサカ類の幹や枝にいるものだから、深い海底で身を縮こませて覗き見ることになる。
冒頭の写真は向きを変えているから頭部が上を向いた状態に見えるけれど、実際のハゼたちはたいていの場合下向きになっている。
おまけに↑このようにトサカ類の幹や枝と同系色になっているから、冒頭の写真のように魚体が一部でも青い海を背景にしていればともかく、トサカに溶け込んでいると、セボシウミタケハゼよりもひとまわり大きくとも、カモフラージュ効果は抜群だ。
ところでスケロクウミタケハゼといえば、名著「日本のハゼ」に記されている分布域を見てみると、沖縄県内に限ってみれば、
沖縄島 久米島 西表島
と、個別に島々の名前表記になっている。
すなわちそれは、沖縄県内でも他の海域では確認されていないという意味でもある。
ということは、もし写真の子がホントにスケロクウミタケハゼであるならば、県内ではけっこうレアな存在ということになる!
……って、8年も前(2013年)に撮った写真で今さら盛り上がってどうする。
しかも当時すでに30m以深のトサカ群落は消滅の危機に瀕していて、かろうじて残っていたトサカで出会った子だから、今ではもう同じ場所での再会はかなわない。
トサカの群落が健在でこのハゼともちょくちょく出会えていた頃から世の中がデジタル時代になってくれていれば、もっと多量にパシャパシャ撮っておいたのだがなぁ…。
※追記(2023年1月)
昨年(2022年)の梅雨時に、かつてソフトコーラルが群生していた深めの砂底を訪れてみたところ、往時の群落は見る影も無かったものの、トサカがポツン、ポツンと2本ほど生えていた。
そのうちの1本をダメ元で覗いてみたところ…
9年ぶりに再会!