全長 15cm
シラタキベラと同じような感じで、砂地の根の中層でハナダイたちに混じりながら、流れてくるプランクトンを食べているヤマシロベラ。
シラタキベラに比べれば遥かに多く、シラタキベラのようにいなくなる時期なんてものもないから、シラタキベラダマシ属の魚たちのなかで、唯一間違いなくいつでも会える魚といっていい。
でも岩場のポイントでは観られない……
……と思いきや、岩場のポイントのとある一角に、砂地の根で観られる数よりはるかに多くのオスのヤマシロベラが群れ泳いでいたのでビックリした(オスが多いということはもちろんメスはもっと多い)。
潮通しが良くてプランクトンを効率よく食べられる場所があれば、砂地の根とか岩場とかは関係ないらしい。
もっとも、シラタキベラよりもさらに目立たないヤマシロベラだから、いるとかいないとかを気にかけて潜っているダイバーはシラタキベラダマシよりも少ないと思われる。
名前すら知らなかったという方のために念のために紹介しておくと、ヤマシロベラのオス・メスは↓こんな感じ。
上側がメスで、下側がオス。
オスの体色は実際に海中で観るとそれほど濃紺のメリハリがあるようには見えず、シラタキベラのように黄色い模様があるわけでもないから、まぁ目立たないこと甚だしい。
1匹のオスが複数のメスを従えているので、メスはたくさんいるものの、オスでさえ目立たないベラのメスが目立つはずはなし…。
もっと小さい頃は…
体にラインが走っている。
シラタキベラに比べると個体数が多いものだから、大小様々なチビたちがサンゴの周りに集まっていることもある。
5月頃になると目立ち始めるチビターレたちは、そこかしこでグループになっていたりもする。
チビターレのグループはけっこう目にするんだけど、残念ながら誰も注目はしない。
チビもオトナも普段から注目されることに慣れていないからだろうか、いつになくジッと観続けていたら、ヤマシロベラのオスが不思議な行動を見せてくれた。
中層でプランクトンを食べているところにずっと寄り添っていたところ、何を思ったのか彼は突如下降していき、砂底に達した。
何をするんだろう?と思ったら……
…ヤマシロベラのオスは体を横にしてサッと砂底の表面に潜り込み、シュッと出てきて……
ナニゴトも無かったかのように再び中層に戻り、プランクトンを食べ始めた。
なんだったんだろう?
痒くて痒くてたまらないけどいちいちホンソメワケベラのところまで行くのが面倒だから、とりあえず砂を孫の手代わりに……
…ってこと??
そのわりにはその1分後には……
実際にホンソメワケベラのお世話になっていた。
砂じゃ埒が明かなかったのか?
ベラの中には夜になると睡眠のために砂底に潜るものがいることが知られているとはいえ、真昼間のこれはいったい……?
…と、ちょっと注目するだけで好奇心を刺激してくれる魚たち。
地味地味ジミーなヤマシロベラも、少しだけ付き合いを深めてみるとけっこう楽しいかも。