水納島の魚たち

ヨコシマタマガシラ

全長 25cm

 フタスジタマガシラからギラギラ輝く「若さ」を抜き取ったような色味のヨコシマタマガシラは、ひと口に言えば地味。 

 上の写真のように背ビレを広げるとそれなりにカッコイイものの、たいていヒレを閉じた状態でたたずんでいる。

 派手さとメリハリに欠けまくるこの姿を、水納島で観た覚えが無い…とおっしゃるのも無理はない。

 ヨコシマタマガシラはリーフ内を好むらしく、サンゴ根がパッチ状に点在するインリーフを泳げば、そこかしこに彼らの姿を観ることができる。

 なので大きな島の広く水深があるリーフ内であれば、けっこう深いところにもいるのだろうから、ダイビング中に出会えるのだろう。

 あいにく水納島にはそのような場所が無いので、ヨコシマタマガシラにダイビング中に出会う機会といえば、彼らがたまたまリーフエッジ付近にきてくれているときくらいのものだ。

 このように数匹がチラホラしているくらいのことが多いのだけど、潮の加減か繁殖イベントなのか、時には20匹以上集まっていることもある。

 昔はいつでもこれくらいの数をリーフ上で観たような記憶もあるものの、いずれにせよ水納島の場合、通常のボートダイビングではこれほど浅いところまで踏み込まないから、滅多に会わないことに変わりはない。

 地味なうえに普通種だけど出会う機会はあまりないとなると、その知名度の低さはオリックス・バファローズの2軍チームの控え選手なみといっていい。

 なもんだから、2012年の9月に出会った↓この15mmほどのチビターレは、長い間(個人的に)謎の幼魚だった。

 ボートを停めている桟橋脇、波打ち際といってもいい水深1mほどのところにいた。

 フタスジタマガシラのチビかと思って撮ったものの、フタスジタマガシラの同サイズチビターレは…

 …背ビレの模様が全然違う。

 フォルムも動きもタマガシラ系でこの柄となると、もはや該当者はヨコシマタマガシラしかいない。

 というわけでヨコシマタマガシラ・チビターレ認定をしたのだけれど、間違ってたらご一報ください。