アーサの佃煮

 アーサ、もしくはアオサと呼ばれるこの海藻、本名はヒトエグサという。
 いくら由緒正しい名前とはいえ、ヒトエグサの佃煮というよりは、アーサの佃煮といったほうが耳に心地よい。

 このアーサは、春先の潮間帯の岩肌にビッシリと繁茂する。
 つまり、採ろうと思えば誰でも見つけられるし、猿でも採れる。

 が、その後が大変なのだ。
 潮間帯なので当然ながらいろんなものがまとわりついている。それらを洗って落とさなければならないから、大量に採ろうものなら大変なことになってしまうわけだ。

 そのかわりその労苦を乗り越えれば、極上の食材となってくれる。
 てんぷらもよし、味噌汁の具にするのもよし、そばに入れるもよし。
 どうやって食べても美味しいけれど、特に素晴らしいのがこの佃煮だ。ひとたびご飯のお供にすると、たちまちあなたは三木のり平になるだろう。

 「ごはんですよ!」

 生前のお姿
 
春先の岩肌はまるで緑の絨毯。
これすべてアーサである。

 


水納島でのダイビング・スノーケリングならクロワッサンアイランドへ!!