アオヤガラの塩焼き

 これはかつてダイビングの方のサイトで紹介したことがある。
 今年(07年)の初秋のことだった。

 桟橋脇に大量に集まっているミズンがそろそろ食べごろになったので、暇なドレヤン(ダイビングサービス・クロワッサンアイランドの若きお手伝いのことをこう呼ぶ)たちは、毎夕のように飽きもせずせっせとミズン釣りに精を出していたところ、1年生フカガワ水産がアオヤガラを釣り上げた。

 アオヤガラは沖縄ではヒーフチャー(火を吹くヤツ)と呼ばれる魚で、食べられることはみんな知っているものの、好んでわざわざ釣ろう、獲ろうとする人はあまりいない。ぶつ切りにしてから揚げにするならともかく、三枚におろそうとすると、その脊椎の身へのくっつき方が複雑で、普通の魚のように容易におろせないのだ。

 だから敬遠しているのだろうか、これまで幾度となく獲れ獲れ魚のご相伴にあずかってきたにもかかわらず、我々夫婦はまだ食べたことがなかった。

 ところがそこは貧乏学生、獲物を選り好みしている余裕はない。
 なので、アオヤガラの美味しい食べ方も熟知していたのだった。

 そんなドレヤンたちおススメの調理法ほうが、この塩焼きだ。

 「アオヤガラは塩焼きが一番美味いっス!!」

 そう力強く断言しつつ、彼らはセッセとさばいた。

 おお、たしかに……さばいてみれば、とてもアオヤガラとは思えぬ上質な気配が……。

 そして、切り身を塩焼きに。
 これがまた、美味いのなんの。彼らの話はウソではなかった。

 身離れのいい白身には下品な脂も余計な臭みもなく、上品な魚の味はいたずらに主張しすぎることもない。あっさりしたアナゴとでも言おうか、ビールをじゃんじゃんッという味ではないものの、泡盛のグラスを傾けるにはうってつけの肴である。

 ……と、僕がここでどのように書くよりも、下の写真をご覧いただければ、この塩焼きの美味さは一目瞭然であろう。

 このウロコムシ武田さんは、沖縄を愛して年に何度となく来沖しているくせに沖縄の魚が大嫌いという、超好き嫌いワガママ大王なのである。そんな彼が、

 「ほぉ……」

 といいながら箸をつけているのだ!!

 ドレヤン一押しのアオヤガラの調理法は、こうして好き嫌い大王の食指をも動かしたのであった。

 あんたが大将!!

アオヤガラを釣り上げたフカガワ水産を称えるツヨポン田中。
水産の名もダテではなかった。

 


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