イラブチャーのカルパッチョ

 イラブチャーとは、ブダイ類の総称とお考えいただいていい。
 もっとも、より貫禄のあるナンヨウブダイになると、ゲンナーとかゲンノーという別称がある。

 一口にイラブチャーといっても、いかなフィッシュウォッチング大好きダイバーといえども名前を覚えきれないくらいに種類が多いのだが、味もまた千差万別。刺身にした場合に美味しいものとそうでないものがあるのだ。

 ここでどれが美味しくてどれが不味いという話をすると、美味しいイラブチャーだけが激減する恐れがあるので語らない。それを知るには経験という段階を踏んでいただくほかない。

 ただし、それが美味しい種類であったとしても、

 「ブダイの刺身はいまいち………」

 と敬遠する向きが多いのもまたたしかである。
 そんな貴方にお勧めしたいのが、この機関長特製ソースをかけたカルパッチョ。クセのある魚もこのソースにかかったら見事に高級魚に変身することうけあいだ。

 この鮮やかなグリーンに輝くソース、特製なのでレシピはいまひとつ定かではないけれど、白味噌に大葉をすりつぶしたものを混ぜ合わせている。
 大葉をすりつぶすために、機関長はわざわざすり鉢を買ったというのだから、さすがシェフ。彼は魚をいかに美味しく食べるかという研究に日夜いそしんでいるのだ。

 これを食べれば、きっとイラブチャーを見る目も機関長を見る目もガラリと変わることだろう。

 生前のお姿

夜、岩穴で眠っているイラブチャー。
ごちそうを食べている夢でも見ているのだろうか、口元がだらしない。
まさかこのあと自分がごちそうになるだなんて、
それこそ夢にも思っていないのだった……。

 


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