カツオのなめろう
この稿で紹介している海の幸は、これまですべて、著者である僕自身が獲ったものか、もしくは島の人が釣ったり獲ったりしたものだった。 今回紹介するカツオは、もちろんそうではない。 水納島でカツオといえば、シーズン中に島にご宿泊されたことがある方なら、きっと夕食でお目にかかったことがあるはず。もちろん刺身として登場する。 これがまた美味い。 毎年4月も半ばになると話題になるのが、「初鰹」。本部漁港で唯一となったカツオ船が出漁し、ドドンと水揚げされる。 かつて遠洋漁業のウミンチュだった機関長キヨシさんの、必殺の漁師料理こそが、カツオのなめろう。 初めてそれを作って持ってきてくれたとき、モノを知らない僕は「なめろう」といわれてもさっぱりピンと来なかったのだが、うちの奥さんは耳にしたことがあったらしい。 これがまたもう、美味いのなんの。 そうやって機関長に教えてもらって以来、カツオの刺身を買うと欠かさずこのなめろうを食べている我々なのだが、この季節にはマサエ農園の玉ねぎが豊富なので、玉ねぎを薬味にする。 なめろう茶漬け。 ああ……もうシアワセ。 目を閉じればまぶたの裏に、お浄土の世界が広がるのだった。 |
渡久地港のカツオのぼり