ミズンの南蛮漬け

 ミズンといえば、夏の風物詩だ。
 桟橋脇で、黒い群れを作るイワシのような魚である。
 台風がいくつか通り過ぎたあと、いつの間にか桟橋周辺に群れている、ということが多い。
 このミズン、盛夏の頃はまだ小さすぎて食すに適さないけれど、晩夏から秋にかけて、いい感じで身が太ってくる。
 そうなると食欲も旺盛になるのか、サビキ釣りのセットのみでサルでも簡単に釣れるのだ。
 さらに釣ったミズンを餌にして大きなガーラを狙う人もいるけれど、釣りはじめの頃はたいていまずミズンを食べる。
 とはいえ、食べ方が刺身か素揚げだけだと、なまじたくさん釣れるだけにやがて飽きてしまう。飽きずに付き合うためには、食し方に工夫が必要だ。

 なかでもこの南蛮漬けは、これがサルでも釣れるあのミズンか?というくらいにちょっと高級感漂う肴になる。あくまでもミズンが主役ながら、タマネギを大量に使うとより一層主役が引き立つようだ。
 残念ながらこの季節は島に野菜はないので、タマネギも自家製でというわけにはいかないけれど……。

 生前のお姿

シーズン中はゴマンといるので、
食べ方を工夫しないとすぐに飽きてしまう…。

 


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